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NTTドコモ「銀行業」進出の野望と背景…前田義晃新社長の思わせぶり発言に銀行業界は戦々恐々(小林佳樹)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月13日 9時26分

NTTドコモ「銀行業」進出の野望と背景…前田義晃新社長の思わせぶり発言に銀行業界は戦々恐々(小林佳樹)

携帯キャリアーの熾烈な経済圏争い(C)共同通信社

【経済ニュースの核心】

 6月にNTTドコモの新社長に就いたばかりの前田義晃氏(54)が各種マスコミインタビューで、銀行業への参入をぶち上げている。金融機関との連携などを念頭に「相手がいれば今年度内も視野に入れたい」というほどの前のめりぶりだ。

 背景にあるのは、携帯料金の引き下げや人口減少などによる通信事業の先細り懸念だ。このため「金融など非通信事業を強化することで顧客の囲い込みとポイント経済圏の拡大に活路を見いだそうということだろう」(メガバンク幹部)とみられている。

 特にライバルのKDDI、ソフトバンク、楽天グループはそれぞれグループ内に銀行・証券会社を持ち、「ポイント経済圏」を形成して高い収益を上げている。

 一方、ドコモは昨秋以降、ネット証券大手のマネックス証券や、オリックス・クレジットを相次いで買収、子会社化したが、唯一、グループの中に銀行を持たず、顧客サービスで劣後している。例えば「マネックス証券のサイトで株などを購入してもらっても、外部の銀行口座を使ってもらわなければならず、使い勝手が悪い。ドコモ経済圏が選択されなくなる」(前田氏)というわけだ。銀行業への進出は待ったなしの状況にある。

 前田氏はリクルートを経て2000年にドコモへ入社した中途採用組だ。携帯電話サービス「iモード」やポイントサービス「dポイント」に携わり、マネックス証券の買収等も手掛けた。そうした非通信分野の手腕を買ってドコモ社長に抜擢したのはNTTグループのドン、澤田純会長だ。

 澤田氏は20年末に上場子会社であったNTTドコモを完全子会社化した。買収総額は約4兆2500億円と、国内企業へのTOB(株式公開買い付け)としては過去最高額。ドコモ分離から28年を経て、NTTグループは再統合へ動き出したと喧伝された。

 NTTドコモは4月にアマゾンジャパンとポイント事業で提携を発表したが、この電子商取引(EC)の巨人との提携を主導したのも澤田氏、前田氏の師弟コンビだ。

 前田氏は、銀行業への参入について、金融機関との提携や買収の可能性に触れつつ、「お相手が見つかるかにもよる」「いろんなことを検討している」と思わせぶりな発言を繰り返しており、取引銀行は戦々恐々となっている。

■ドコモと組む銀行は勝ち組に

「ドコモは三菱UFJ銀行と口座サービスで提携しているが、どこの銀行と本格的にタッグを組むのか、はたまた買収か、いずれにしてもドコモと組む銀行は勝ち組となる」(メガバンク幹部)とみられている。

 前田氏がドコモ転職を決めたのは、大ファンのイエロー・マジック・オーケストラの「ライディーン」が着信設定できると知って、携帯電話が社会を劇的に変えることを痛感したことだという。

 ドコモの銀行業参入は、「雷電(ライディーン)」となるか?

(小林佳樹/金融ジャーナリスト)

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