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貧血に使われる「鉄剤」は副作用を防ぐために多めの水で服用【高齢者の正しいクスリとの付き合い方】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月13日 9時26分

貧血に使われる「鉄剤」は副作用を防ぐために多めの水で服用【高齢者の正しいクスリとの付き合い方】

食後に服用するか多めの水で服用する

【高齢者の正しいクスリとの付き合い方】

 貧血の中で最も一般的なのが「鉄欠乏性貧血」です。その名の通り、体の中の鉄が少なくなることで貧血になる疾患です。治療には「鉄剤」と呼ばれるクスリが用いられ、高齢者はもちろん特に女性で使われている方もいらっしゃるでしょう。

 そもそも、鉄が少なくなるとなぜ貧血になるのでしょうか? 血液にはヘモグロビンという色素が含まれていて、呼吸で体内に取り込んだ酸素を体のすみずみに運ぶ役割を持っています。ヘモグロビンは体内で生成されますが、その際に材料となるもののひとつが鉄で、鉄が不足するとヘモグロビンが作れなくなってしまい貧血になるのです。そのため、貧血が進むと酸素が運ばれにくくなり、息切れ、動悸、めまい、ふらつきといった症状が現れます。

 ヒトは鉄を体外に排出する経路を持ち合わせておらず、鉄は体内で永久にリサイクルされるため、理論上では欠乏することはありません。しかし、物事はそんなに単純ではなく、出血や粘膜の脱落などで鉄が失われることがあります。通常であれば、食事に含まれる鉄を摂取することでバランスを保てるのですが、失われる分が多くなると鉄欠乏性貧血になる場合があるのです。

 そうした際にクスリとして鉄剤が処方され、それによって体内の鉄を補充します。ただ、鉄剤もクスリですから、当然、副作用があります。代表的なものとして、吐き気と便秘があります。

 吐き気は特に空腹時に鉄剤を服用すると起こりやすいため、食後に服用することである程度予防できます。また、多めの水で服用することも重要で、これは吐き気、便秘いずれにも効果的です。

 内服した場合、鉄の吸収率はあまり高くありません。そのため、鉄がそのまま便と一緒に排出されることがあります。その際、便の色が黒くなってびっくりされることもあるかと思いますが、あくまで鉄の色なのでほとんどの場合は安心していただいて結構です。

 また、鉄はビタミンCと一緒に摂取すると吸収が良くなるといわれています。ただ、人によっては吐き気が増強されることもあるので注意しましょう。

 鉄剤には内服薬以外に注射薬もあり、緊急性のある重度の鉄欠乏性貧血(消化管出血など)に用いられます。注射薬の場合は内服薬のように消化管からの吸収を考慮する必要がないため、効率的に鉄を補充することができます。

 でも、そうなる前に対処したほうがいいですよね。じつは貧血は自分でも気づくことができます。手の指の爪を別の指で押すと、白くなります。指を離してすぐにピンク色に戻る場合は大丈夫です。しかし、もしも白いままなら貧血の可能性があります。普段から体調に注意を払い、異常があれば早めに相談するようにしましょう。

(東敬一朗/石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師)

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