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「静脈内鎮静法」が増加中…歯科治療の痛みを取り除く方法を知る

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月13日 9時26分

「静脈内鎮静法」が増加中…歯科治療の痛みを取り除く方法を知る

うたた寝のような状態で処置を受けられる(C)iStock

 歯が痛い。虫歯でも歯周病でも、すぐに治療したほうがいいのはわかっている。でも、治療中の痛みや音が嫌で躊躇してしまう--。大人でもそんな人は少なくない。だが、最近の歯科医院ではできる限り痛みを軽減させて不安を抱かせないよう「麻酔」の工夫が行われている。小林歯科医院の小林友貴院長に詳しく聞いた。

  ◇  ◇  ◇

 ここ数年、「静脈内鎮静法」を導入する歯科医院が増えている。精神安定剤などの鎮静剤を静脈に点滴で投与して意識が半分眠っているような状態をつくり、その間に治療を進める方法だ。呼びかければ応答できるくらいの意識は残り、自発呼吸もできるので呼吸管理の必要もない。うたた寝のような状態で処置を受けられるため、治療中の痛みを感じることなく不安を軽減できる。

「静脈内鎮静法を行う場合、歯科医とは別の麻酔科専門医が全身の状態を監視しながらコントロールする場合が多いです。それに対応可能な施設や人員を備えている医療機関は別ですが、当院では、実施する際は麻酔科専門医に出張で来てもらう必要があります。また、自費診療の施術で実施する場合は保険適用外になるため、全額自己負担で5万~8万円程度の費用がかかります。それでも、ウトウトしている間に治療が終わり、緊張や恐怖といった精神的な負担を軽減できるので、当院では、インプラント治療などの長時間にわたる大がかりな外科的治療を受ける患者さんは、ほぼ100%の方が静脈内鎮静法を選択されます」

 費用は高額だが、治療の痛みや音に対する恐怖心が強い人はもちろん、治療のストレスで血圧が急上昇したり心臓にかかる負担も軽減できるため、循環器トラブルを抱えている人にとっても静脈内鎮静法を検討してみる価値はある。

■電動の麻酔注入器も効果的

 ただ、大がかりな外科手術ならともかく、一般的な歯科治療ではハードルが高いという人がほとんどだろう。そんな人でも不安なく治療が受けられるように、最近の歯科医院ではできる限り治療の痛みを軽減する工夫が行われている。

「虫歯治療など麻酔注射が必要な治療を行う場合、注射の痛みを緩和するためにまず表面麻酔を施したうえで、33Gという超極細の注射針を使って麻酔します。歯肉はかなり敏感なので、注射針のわずかな太さの違いで痛みの度合いが変わってくるのです。さらに、麻酔液の注入には電動の麻酔注入器を使います。患者さんの多くは、施術者が麻酔薬を注入しようと注射器のプランジャー(押し子)を押し込んで圧力をかけたときに痛みを訴えます。手動では、どうしても圧力のかけ方が不安定になり、強い力がかかってしまうと痛みが出るのです。その点、電動の麻酔注入器は圧力を一定に保ったままゆっくりしたスピードで時間をかけて注入できるので、患者さんは痛みを感じにくくなります」

 施術者が麻酔注射の針を打つ場所も重要だという。歯を取り囲んでいる歯肉=歯茎は、性質や構造などの違いによって、硬くて動かない角化歯肉と、軟らかくて伸びる歯槽粘膜という部分に分けられる。

「麻酔注射を打つ時は、軟らかい部分にテンションをかけてピンと張らせてから針を刺します。刺す力がかからない方向にスッと針を入れると痛みを感じにくく、そこから少しずつ麻酔の範囲を広げていくのです。麻酔注射を実施している最中に、患者さんから『針は使わないんですか?』とたずねられることもあります」

 歯を削る治療でも、「5倍速コントラ」と呼ばれる歯を切削する器具を使うと、不快な音が出ないうえ、施術者の手ブレが抑えられて丁寧な切削ができるため、痛みの軽減につながるという。

 痛みや不安で歯科治療が苦手だという人は、まずどのような麻酔法や治療機器を使っているかを確認してから歯科医院を選ぶといい。

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