経済発展や男女平等を実現すると男性の食肉消費が増える?【役に立つオモシロ医学論文】
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月14日 9時26分
![経済発展や男女平等を実現すると男性の食肉消費が増える?【役に立つオモシロ医学論文】](https://media.image.infoseek.co.jp/isnews/photos/gendainet/gendainet_1058327_0-small.jpg)
男性の方がよく食べる?
【役に立つオモシロ医学論文】
食肉の消費は、畜産に伴う温室効果ガスの排出、食習慣の偏りに伴う健康リスク、動物の福祉に関する問題など多様な社会課題と関わっています。持続可能な社会の実現に向けて食肉消費を減らすべきとの指摘もあります。
経験的に、食肉の消費量は女性と比べて男性で多いことが知られています。このような男女差は、食肉の消費が個人の嗜好だけでなく、生物学的あるいは文化的な背景が要因となっている可能性を示唆します。そんな中、食肉の消費量と性差の関連性を検討した研究論文が「サイエンティフィック・リポーツ」という科学誌に2024年6月13日付で掲載されました。
この研究では23カ国に在住している2万802人が対象となりました。研究参加者に対して、食品の摂取頻度に関する調査を行い、人間開発指数(HDI)およびジェンダーギャップ指数(GGGI)と食肉消費の関連性が検討されています。なお、HDIとは健康、教育、生活水準という3つの観点から国の経済水準を0~1点(高得点ほど良好)で評価する指数です。また、GGGIは教育、健康、社会参画、経済における男女格差を0~1点(高得点ほど平等)で評価する指数です。
分析の結果、食肉の消費量は中国、インドネシア、インドを除く20カ国において、女性よりも男性で高い傾向を示しました。この傾向性は、HDIやGGGIが高い国ほど顕著でした。つまり、経済水準が高く、男女の平等性が高い国では、男性の食肉消費量が多いということです。論文著者らは、性別が自己申告により分類されたこと、食肉の種類を考慮していないことなどを分析の限界としながらも、「この結果は食肉の消費量を減らす方法を考える上で有用な情報である」と結論しています。
(青島周一/勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰)
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