1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. スポーツ
  4. スポーツ総合

春の王者が夏に勝てるには「挑戦者のように相手校を徹底的に研究するしかない」(小倉清一郎)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月15日 9時26分

春の王者が夏に勝てるには「挑戦者のように相手校を徹底的に研究するしかない」(小倉清一郎)

夏の神奈川県大会でサヨナラ打を打つ横浜時代の近藤(C)日刊ゲンダイ

【松坂、筒香を育てた小倉清一郎 鬼の秘伝書】#203

 夏の秋田大会で第1シードの明桜が初戦で金足農に敗れる波乱が起きた。金足農も昨秋の県優勝校だから、番狂わせではないが、春の県王者はライバル校の標的にされるため、しばしばこんなことが起こる。

 春で得られる自信はプラスだが、高校生だけに「春勝ったんだから夏も大丈夫だろう」という慢心も生じる。このマイナス面が大きい。

 横浜での指導者時代では、1991年から3年連続夏の神奈川大会決勝敗退という苦しい時代があった。このうち、92年は春の県王者として自信を持って臨んだが、決勝で元巨人監督の高橋由伸が2年生だった桐蔭学園に、2年連続で敗退。春は決勝で桐蔭学園に勝っていたのに、夏は勝てないのかーー。夏の決勝は投手起用を巡って渡辺元智監督と口論になったため、今でも苦い思い出として覚えている。

 2000年以降、横浜は夏の甲子園に12度出場しているが、県大会の春夏連覇は04、16、18年の3度だけ。裏を返せば、残りの9度は春は負けても、夏は勝って甲子園に出場していることになる。

 他校の指導者に「春の県王者として標的にされる中、どうしたら夏も勝てるのか」と聞かれることがある。これには、自分たちの野球をやるのは当然として、「挑戦者のように相手校を徹底的に研究するしかない」と答えている。

 夏の地方大会で最も重要なことは、10打数0安打のような「死んだ選手」を出さないことだ。負けたら終わりのトーナメント戦で、中心選手がスランプに陥ってしまうと苦しくなる。

 思い出すのは現ソフトバンクで今季は三冠王の可能性がある横浜OBの近藤健介だ。

 高校通算38本塁打の3番打者だったが、3年時の夏の大会直前に右足首を痛めた影響で、フォームを崩し、不振に陥った。勝負強い男が準決勝まで17打数4安打で打点は0。近藤は苦しんでいたが、決勝の桐光学園戦の延長十回に意地の中前打を放ってサヨナラ勝ち。最後の最後にマークした夏の初打点が、甲子園を決める殊勲打となった。

 スランプになってしまった時は「ハンガーカーブ」といわれる肩口からのカーブをマシンで設定して打つといい。右打者も左打者も、肩口からの球を体を開かずに、セカンドやショートの頭を狙ってはじき返すと、自然と「開き」が矯正される。今やプロ野球の安打製造機となった近藤もこれで立ち直った。「ハンガーカーブ打ち」をぜひやってみて欲しい。

(小倉清一郎/元横浜高校野球部部長)

  ◇  ◇  ◇

 日刊ゲンダイでは元横浜高校野球部部長の小倉清一郎氏と専大松戸の持丸修一監督をコラムを毎週交互に連載。【関連記事】にはそれらをピックアップしている。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください