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果物から海の幸まで…「食卓のSDGs」で注目される企業3社はココだ

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月15日 9時26分

 しかし、水産庁によれば海面漁業・養殖業は2018年までの30年間で58%も減少しており、海の資源の枯渇、生産コストに見合わない価格相場など経営環境は厳しく存続の危機が叫ばれている。

 そんな中、親子4代にわたりハマチ養殖を担う服部水産が、持続可能な養殖事業を目指して2022年に『百年はまち』を立ち上げた。天然の稚魚を使わず、人工孵化させた稚魚(人工種苗)から育てることで、稚魚の価格に左右されず、同時に水産資源を保護しながら徹底的に美味しさを追求したハマチだ。また崩れにくく、高品質な固形えさの使用で海を汚しにくいメリットもあるという。

 サスティナブルで驚いたのは、水温が低くなる冬には、ハマチの養殖を一旦休み、しっかり”海の休息期間”をとるというもの。これは引田の海が翌年また元気な魚を育てるための大事なインターバルなのだそう。

「環境要因で相場が大きく左右される現在の水産業の構造のままでは養殖業の継続が厳しい。市況ではなく品質で評価される養殖業を次世代に渡せるよう『百年はまち』をつくりました」(3代目服部秀俊社長)

 引き締まった身と抜群の歯ごたえがありうなる美味しさだ。

■「海幸ゆきのや」静岡県の田園地帯で育てる「幸えび」は万博の弁当にも採用

 最後は陸上で育てられているエビだ。「幸えび」(ゆきえび)とは、2020年に設立された海幸(かいこう)ゆきのや合同会社が、静岡県磐田市の田園で生産している国産のバナメイエビのことだ。抗生物質や保存剤を一切使っていない。大阪・関西万博の弁当の食材として採用されて注目を集めている。

 好きな人が多いエビだが、スーパーなどで買える90%以上が輸入もので、価格が不安定で輸入量が安定せず価格が高騰することもある。そのため国内産の安定供給が求められると考えられ2022年から事業がスタートした。

 養殖といえば海が主流だが、赤潮や台風など環境課題が多いのも事実。比べて陸上養殖は天候に左右されないため、次世代の水産業として注目されている。食糧自給率が低い日本においては、注目すべき養殖方式ともいえそう。

 東京ドームのグランドと同程度の敷地内に、縦40㍍、横12㍍の巨大水槽が6個あり、約1000万尾のエビが養殖されているが、汲み上げた地下水をエネルギー効率よくろ過・殺菌し繰り返し使用している。また水を排出する時もろ過・殺菌を行うことで環境への負荷を軽減。餌や排泄物で海を汚さず環境にやさしい仕組みだ。

「いまはまだ輸入エビよりも割高だが、生産コストをできるだけ下げて求めやすくしていきたい」(日納真吾社長)という。
              
(取材・文=浦上優/ライター)

  ◇  ◇  ◇

 環境や動物、健康を目的に動物性の食事をしないヴィーガン食が世界的に注目されたが、世界には驚きの代替えメニューが存在する。

 ●関連記事【もっと読む】キャビアに麻婆豆腐…“本物そっくり”な代替食品の最新事情 で詳しく報じている。

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