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放置れされがちな皮膚疾患 特に高齢者ではQOLに大きな影響が【老親・家族 在宅での看取り方】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月17日 9時26分

放置れされがちな皮膚疾患 特に高齢者ではQOLに大きな影響が【老親・家族 在宅での看取り方】

写真はイメージ

【老親・家族 在宅での看取り方】#102

 訪問診療先では寝たきりの患者さんも多いですから、床ずれ(褥瘡=じょくそう)や血流悪化による足の壊死(えし)に対応することは日常的です。また、高齢の方では、足腰の手術などをきっかけに歩き方に癖ができ、各足の指の適度な踏みしめが十分にできなくなり、巻き爪になったりむくみやウオノメなどができることが多くあります。

 ただでさえ歩くことが少ない高齢者の方々が、これら足のトラブルにより「痛いから」と歩かなくなると、なおさら体力や筋力の減少にもつながり、ADL(日常生活動作)の低下を招くことにもなります。とはいえ無理して歩くと転倒のリスクもあります。高齢者のフットケアは多様な要素が関連することから、包括的に見る必要があると考えます。

 実際そんな患者さんに対して、これまではご家族の協力も仰ぎながら、各スタッフが患者さんの状況を確認し、臨機応変に対応してきました。

 しかし私たちはさらに専門的に対応するため、新たに2020年から皮膚科医を、2022年からは形成外科医を医療チームの一員に加えています。それにより、例えば4週間以上かかっても治らないような創傷、いわゆる皮膚の損傷である慢性創傷や、重度の皮膚疾患などに、これまで以上にしっかり対応できるようになりました。

 そんな各現場で対応を重ねていく中で、患者さんの皮膚や足指などの状態が健全であることは、患者さんのQOL(生活の質)を向上させる上で重要な要素であると改めて実感できたのでした。

 20年ほど前、細菌の感染で炎症する蜂窩(ほうか)織炎で両足の皮膚移植を受けた93歳の患者さん。それ以来、一進一退を繰り返していました。

 むくみがひどく、物が皮膚に当たっただけでも剥離してしまうという非常にデリケートな皮膚の状態。あかが菌の繁殖につながるため、訪問看護師やデイサービスでは、せっけん洗浄を行うようにお願いしていました。

 ただ、免疫の弱い高齢者では、皮膚からの感染でも重症化し、入院による点滴が必要になることもあります。熱感がある時は、検査の結果をにらみながら抗生剤も処方するようにしていました。

 毎週こまめな洗浄と、皮膚科医による「抗生剤+ガーゼ+弾性包帯巻き直し」といった処置をコツコツと繰り返した結果、在宅医療を開始した1年前にはあれほど黒くただれていた皮膚が、次第に内出血の赤色を経た肌色に変わっていったのでした。

 療養される高齢の患者さんに対し、「年だから仕方ない」と放置しがちな皮膚疾患。しかし、患者さんの療養生活をより快適にするためにも、いま一度見直してみる必要があると考えるのです。

(下山祐人/あけぼの診療所院長)

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