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経団連の後継会長 本命は日鉄の橋本英二会長、対抗はNTTの澤田純会長としておく(有森隆)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月18日 9時26分

経団連の後継会長 本命は日鉄の橋本英二会長、対抗はNTTの澤田純会長としておく(有森隆)

日本製鉄の橋本英二会長(C)共同通信社

【企業深層研究】経団連の会長人事(下)

 次期経団連会長は誰か。衆目の見るところ本命は日本製鉄の橋本英二会長である。対抗は、その勢いを買って、ここではNTTの澤田純会長としておく。

 日鉄は米鉄鋼大手・USスチールの2兆円買収の渦中にある。USスチールの買収は、バイデン、トランプの2人の大統領(候補)に待ったをかけられているが「橋本氏にひるんだ様子はない。欧州委員会(EU)が買収を承認するなど、外堀を埋めて、手堅く一歩一歩前進している。USスチールの米国での買収反対の動きも大統領選が終わるまでと読んでいる」(日鉄幹部)。

 ある経団連関係者は「電磁鋼板の特許を巡ってトヨタ自動車を訴えたのは日鉄の橋本氏。訴訟は和解で昨年秋に一段落したが、トヨタの豊田章男会長の怒りは収まっていない。もし橋本氏を経団連会長にしたら、豊田氏は経団連モビリティ委員会の委員長のポストを放り投げかねない」と心配している。しかし、これはおかしな話。経団連会長になる気のない豊田氏が、他の人選にとやかく言う資格はないはずだ。

「橋本氏の就任を豊田章男氏の意向に忖度して回避したらどうか」とする考えは、もはや古いというかバランスを欠いている。「豊田章男、なんぼのものなのや!!」という外野席からのヤジが聞こえてきた。

「鉄は国家なり」の時代、日鉄の前身の新日鉄は、5代会長の稲山嘉寛氏、6代斎藤英四郎氏、9代今井敬氏を輩出するなど、経団連会長は、いわば指定席だった。だが、それ以降、すっかりご無沙汰をしている。橋本氏が第16代会長に就けば、日鉄にとっても久々の朗報となる。しかし、そうなれば「失われた30年に逆戻りする」との冷ややかな声があるのも事実だ。

 橋本本命とするなら対抗はNTTの澤田純会長としておく。NTTは5月10日、6月の株主総会の日付(6月20日)で澤田会長の代表権を外すと発表した。会長職は続ける。昨年、経団連副会長に就任。

「今後は財界活動に一層、注力する」(澤田氏の側近)

悲願だったNTT完全民営化

 澤田氏が財界活動に注力するもう一つの理由は、悲願としてきたNTTの完全民営化を実現させるためだ。政府が保有するNTT株式の売却案が浮上したのは、防衛予算の確保のためだった。

 NTT法で、政府は株式の3分の1以上を保有すると定められている。

 自民党防衛関係費の財源検討に関する特命委員会の委員長を務める萩生田光一政調会長(当時)は当初、防衛力強化の財源確保に向けてNTT株の売却の是非を検討すると主張していた。その後、NTT法がNTTが世界で競争する制約になっているとし、同法の廃止にまで議論が拡大。NTTの変革につながる可能性が出てきた。

 2018年6月、NTT社長に就任した澤田氏はグループ再編を進めてきた。20年末に4兆円超という国内企業のTOB(株式公開買い付け)で過去最高額を投じ、上場子会社のNTTドコモを完全子会社にし、上場廃止とした。「澤田氏は、とにかくせっかち」との部下の評もある。NTTの歴代社長では異質のタイプだ。

 NTTグループの再統合へのギアは入った。次のステップが財界総理の椅子というシナリオなのだろう。NTTの株価が安値圏を底這いしていることは不安材料である。

 経団連の副会長はメーカーでも素材分野は橋本氏を含めて2人しかいない。組み立て産業はアジア勢に追い上げられて、かつての輝きを失いつつある。

 経団連会長の座を射止めるのは誰か。実力プラス人気、世論や経団連独特の“評価”もある。十倉雅和会長が「ズバズバ、はっきり物を言う人物を嫌う」という話も流れている。そうなると……。

(有森隆/経済ジャーナリスト)

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