大人気の2型糖尿病の飲み薬が引き起こす性感染症リスク 心血管イベントや死亡率は減少するが…
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月18日 9時26分
なぜ、SGLT2阻害薬は性感染症のリスクをアップさせるのか?
「そもそもこの薬は腎臓に近い尿細管にあるSGLT2の働きを阻害して尿からの糖質の再吸収を邪魔することで、糖質を尿中に多く流して血糖値を下げる薬です。単に糖質を排出するだけでなく、より多くの糖質を排出しようとして尿量も増えるため、体重が減る効果もあるとされています。さらに大規模なランダム化比較試験により、心血管イベントと死亡率の減少が報告されていて、心臓に不安を抱えたり、肥満に悩む2型糖尿病の患者さんには人気の糖尿病薬です」
しかし、SGLT2阻害薬は糖を含んだ尿が膀胱や尿路を流れるため、糖を餌にする雑菌が繁殖しやすいことが指摘されている。
「膀胱や尿道は脳、脊髄、末梢神経などの神経系が正常に働くことによって膀胱に尿をためたり、尿意を感じて排出したりします。しかし、糖尿病の人は神経障害を合併することが多い。そのため、体内に尿がとどまる時間が長いとされ、雑菌が繁殖しやすくなって陰部や性器に感染症を起こす可能性があるとされています。とくに女性は尿道が短く、膀胱炎になりやすいとされてきました」
では、本当にSGLT2阻害薬を利用している人に膀胱炎は増えているのか? 製造販売承認前の治験では性感染症とともに増やすといわれてきた。しかし、ここにきてこれに否定的な複数の研究が報告されていて、SGLT2阻害薬を服薬している2型糖尿病患者が膀胱炎を発症した場合、すぐに服薬中止するのではなく、別の可能性を検討すべきとの声も専門医の間で上がっているという。
「とはいえ、SGLT2阻害薬が膀胱炎を増やさないとの明確なエビデンスがあるわけではなく、性感染症の増加は新たな研究でも肯定されています。おしっこをした後やお風呂に入ったときは入念に下半身を清潔に保つよう心がけることはもちろん、性感染症に罹患しやすいことは頭の片隅に置いておくべきです」
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