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SNSの落とし穴…偽情報も繰り返されれば真実だと思い込む【科学が証明!ストレス解消法】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月19日 9時26分

SNSの落とし穴…偽情報も繰り返されれば真実だと思い込む【科学が証明!ストレス解消法】

写真はイメージ

【科学が証明!ストレス解消法】#174

 何度も同じ内容を繰り返されると、たとえそれが疑わしくても信じてしまうことがあると思います。

 たとえば、友人から「あの店のパスタ、おいしかったよね」と言われたとします。行った記憶がないため、「え? 私は行ってないと思うけど」と返答したとしても、「いやいや、行ったじゃん!」と繰り返し執拗に言われると、「そうかもしれない」と思い込んでしまう--。これは、珍しいことではありません。

 キングストン大学のヘンダーソンらは、同じ情報を繰り返し聞くことで、その情報の真偽判断がどのように変化するかを実験しています(2021年)。まず567人の被験者に、さまざまな話題に関する短い文章を見せ、それらの文章の中に同じものが何度か出てくるようにしました。その上で、それらの文章が真実だと思うかどうかを評価してもらったのです。

 さらには、同じ文章を見せる間隔を変えて、その効果がどのように変化するかも調べました。すぐに見せる場合、1日後、1週間後、1カ月後と、時間の経過とともにその効果がどのように変化するかを比較したわけです。

 すると、同じ文章を繰り返し見せるとその文章が真実だと感じる傾向があることが分かり、実に被験者の85.2%(483人)がこうした傾向になることが分かったといいます。さらに、時間の間隔に関しては、1日後(72%)、1週間後(71%)、1カ月後(61%)という具合に、経過とともに減少することも判明したそうです。

 ヘンダーソンらは、こうした効果を「錯覚的真実」と呼び、同じ内容の情報を繰り返されることで、人はその情報が真実だと錯覚してしまうと説明しています。実験が示すように、錯覚効果は短期間で繰り返し触れれば触れるほど、情報の真偽判断に大きな影響を与えるわけですから、私たちの生活においても無関係ではありません。

 たとえば、広告などで同じメッセージを繰り返し流すことで、その製品の有効性や信頼性が高まるのも、錯覚的真実によるところが大きいです。

 昨今は、ソーシャルメディアなどでも、同じ情報が何度も共有されることで、その情報の真偽にかかわらず、真実だと認識されてしまうケースが増えています。特に、短期間で同じ情報が繰り返し目に入ると、人はそれが真実であると錯覚する--。この特徴を考えると、SNSのタイムラインに次々と流れてくる似たような情報に対しては、「情報の出どころを確認する」「情報の新鮮さに惑わされないようにする」「複数の情報源を確認する」といったフィルターがなければいけないでしょう。

 同じことを何度も繰り返し主張するというのは、一見もっともらしく見えてしまいます。しかし、短期間に何度も念仏のように唱えられると、それは刷り込みとなって、私たちの視界をぼやけさせます。スマホが手放せない現代では、SNSや動画配信はとても身近です。だからこそ、同じ情報が流れてきたときに、ワンクッション置いて考える癖を身に付けるようにしましょう。

(堀田秀吾/明治大学教授、言語学者)

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