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陣内智則くんの一言で、自分のふがいなさに涙した…彼には大きな借りがある(本多正識)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月20日 9時26分

陣内智則くんの一言で、自分のふがいなさに涙した…彼には大きな借りがある(本多正識)

陣内智則(C)日刊ゲンダイ

【お笑い界 偉人・奇人・変人伝】#201

 陣内智則の巻(下)

  ◇  ◇  ◇

 司会に、コメンテーターに舞台にとジャンルを問わずに活躍の場を広げている陣内くん。「任せておけば大丈夫」という安心感・安定感がスタッフサイドにあるのでしょう。それでいて、視聴者からは先日のお笑いタレント・永野くんに飛びかかったときのような「何をしだすかわからない」いい意味の“怖さ”も持ち合わせていて、実にいいポジションを確保しています。

 その根底にあるのは一生懸命さ、仕事に対する真摯な姿勢でしょう。そして前回もふれましたが、周囲への気遣い、心配りができるので“敵”がいない。これはビジネスマンにとっても参考になることだと思います。

 そんな彼に私は取り返しのつかない大きな借りがあります。2016年に桂文珍師匠が東京の神保町の劇場(現・漫才劇場)で落語を芝居化した「立体落語」をプロデュースし、5本の芝居を上演。文珍師匠から「任せるさかい本多はんの好きにして」と大役を仰せつかりました。

 そのうちの1本が陣内くん主演で野性爆弾となだぎ武くんらが脇を固める、私としても一番楽しみにしていたものでした。先に4本を書き上げ、「さぁ陣内くんの台本にとりかかろう」と始めた頃から施設に入所していた父に脳腫瘍が見つかり、一刻も早く手術をしないといけない事態が発生し、手術の打ち合わせや準備で台本を書こうとしていた時間が根こそぎ持っていかれてしまいました。作家としてはそんなことは関係なく、当然台本を書かなくてはいけないのですが、私の世界観で書いてきているので、他の作家に代筆を頼むわけにもいかず、打ち合わせの日を迎えました。

 事情を説明し「必ず間に合わせるのでもう少し時間をもらえないか」と相談を持ちかけたところ陣内くんの答えは「術後の状態がどう変化するかもわからないし、万一のことがあったら先生も普通の精神状態で書くのは無理やと思います。他の4本ができてるんなら、僕らのやつ(芝居)は僕らで考えますから、お父さんのことを一番に考えてあげてください。“本多先生が身内のことで仕事飛ばしよった”なんてこと絶対言わせませんから。これはぜひ僕らにやらせてください」と頭を下げてくれました。

 その言葉がうれしかったのと、自分のふがいなさに涙があふれましたが、もし書けなかった時の迷惑を考えると、それこそ取り返しがつかないので、文珍師匠の了解も得て、陣内くんたちの厚意に甘えさせていただきました。この場を借りて陣内くんチームにはあらためておわびとお礼をさせていただきます。陣内くんたちの作った芝居はまさに「奇想天外」。私などとても思いつかない唯一無二の作品でした。

 彼の性格から、私と同じように“借り”のある方が他にもいるんじゃないかと思います。ゴシップ報道で、一瞬悪役に見えても気が付いたらいつも通りになっているのには、そういう“好漢”な一面があるからではないでしょうか。コンプライアンスの厳しい昨今、噂が本当ならテレビ局も起用しないはずです。これからも欠かせぬテレビの顔として頑張ってください!

(本多正識/漫才作家)

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