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サイゼリヤ株主優待廃止で株価急落…「理系経営」で個人株主の反発ょかわせるか【経済ニュースの核心】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月20日 9時26分

サイゼリヤ株主優待廃止で株価急落…「理系経営」で個人株主の反発ょかわせるか【経済ニュースの核心】

千葉県市川市にあるサイゼリヤ1号店(C)日刊ゲンダイ

【経済ニュースの核心】

 7月11日の東京株式市場で、低価格イタリアンチェーン店を展開するサイゼリヤの株価が急落した。10日の15時に株主優待を廃止と増配を同時に発表したことで失望売りが出たもので、株価は一時9%超安い5250円まで下げた。

 サイゼリヤの株主優待は、毎年8月末時点の株主を対象に実施されており、従来の内容は「100株以上を1年以上保有する株主に自社レストランでの『食事券』2000円分を贈呈。500株以上を保有する株主に『食事券』1万円分を贈呈。1000株以上を保有する株主に『食事券』2万円分を贈呈」という内容だった。

 しかし、この株主優待はすでに実施済みの2023年8月末分をもって「廃止」となる。

 廃止する理由についてサイゼリヤは、「株主の皆様への公平な利益還元のあり方という観点から、慎重に協議した結果、配当による利益還元に集約することが適切であると判断し、株主優待制度を廃止することといたしました」と説明している。

 一方、増配については、24年8月期の配当予想を従来の18円から25円に引き上げると発表した。

 サイゼリヤの説明を額面通りに受け取れば、株主優待での還元を増配に切り替えただけで、株主の利益は変わらないとの印象を受ける。しかし、実際は、株主優待の廃止が発表された10日の終値で計算すると、株主優待利回りは100株保有する株主では「0.34%」に相当する。これに対して増配では、配当利回りが「0.12%」増えるだけ。食事券を楽しみにしていた少額保有の個人株主にとっては改悪としか言いようがない決定だ。

「値上げをしない宣言」で新規顧客獲得に成功も

 サイゼリヤは、正垣泰彦氏が東京理科大在学中の1967年にフルーツパーラーを洋食店に替えて開業したのが始まり。大学とレストランの二足のわらじは苦労の連続で、お客を集めるために自らサンドイッチマンもやったという。

 いまや従業員数2000人超、国内外1500店舗を超える大手ファミレスに成長させた正垣氏の経営は、自身が「論理が明快な数学と物理がとても好き」というように、徹底した理詰めの「理系経営」で知られる。コロナ禍では、あえて「値上げをしない宣言」をしてサイゼリヤに馴染みのない新規顧客獲得に成功したのも理系経営の成果とされる。

 サイゼリヤはコロナ禍の影響をもろに受けたが、23年8月期に売上高は1832億円(前期比27%増)、営業利益72億円(同17.1倍)とV字回復した。値上げしない宣言が顧客獲得の支持を得た格好だ。

 今回の株主優待の廃止と増配も、正垣流の「理系経営」のなせる業か。ただ、「NISAを通じてサイゼリヤの株を購入した家族も少なくない。株主優待を期待した個人株主が離反すれば、売り上げにも悪影響が懸念される」(大手証券幹部)というのだが……。

(小林佳樹/金融ジャーナリスト)

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