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「円高は株安のジンクス」…調べたら歴史的な根拠は希薄だった【ベテラン証券マンが教える株のカラクリ】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月21日 9時26分

「円高は株安のジンクス」…調べたら歴史的な根拠は希薄だった【ベテラン証券マンが教える株のカラクリ】

為替と株価の関係は…(C)日刊ゲンダイ

【ベテラン証券マンが教える株のカラクリ】#129

 アベノミクスのリフレ政策によって為替が円高から円安に転じ、それにつれて低迷していた株価が大幅に上昇したこともあり、一般的には、「円安は株高」「円高は株安」と考えられている。だが、果たして本当なのか、為替と株価の関係を歴史的に検証してみたい。

 事実上の変動相場制が始まった1972年から2023年までの52年間を振り返ると、年間(年初から年末まで)に「5%超の円安」となった年は17回(年)で、日経平均株価の平均騰落率は年率+7.87%。一方、「5%超の円高」となった年は28回で、日経平均の平均騰落率は年率+2.77%だった。

 ちなみに、この52年間の平均騰落率は年率+7.54%だ。つまり、為替と株価の関係について、「円安は株高」と言うのは少し大げさで「円安では株価上昇は平均より若干高め」にすぎず、また「円高は株安」ではなく、「円高では株価は大して上がらない」というのが本当のところだろう。

 この52年間をもう少し詳しく見てみると面白いことが分かる。株価が大幅下落した年、すなわち①1990年の「バブル崩壊」(年間のドル・円の為替は5.60円の円高、日経平均の年間騰落率は-38.72%)②2008年の「リーマン・ショック」(同18.79円の円高、同-42.12%)③11年の「東日本大震災」(同5.19円の円高、同-17.34%)と、これらすべての年で為替が「5%超の円高」だった。そうしたこともあって、「円高が進行し株価が大暴落した」という強烈な印象が、投資家に「円高は株安」のイメージを植えつけたのではないだろうか。

 さらに、円高にもかかわらず株価が上昇した年が少なくないことも分かった。52年間で5%超の円高が進んだ28年のうち、その半分の14年は日経平均も上昇し、しかも年間平均騰落率は+19.74%に達し、52年間の平均騰落率の2.6倍もの大幅な上昇になっているから驚く。

 米国の9月の利下げが確実視され、日米の金利差縮小で円高基調になることが予想されている。しかし、過去のデータに基づけば、仮に円高になったとしても日本株の動向にあまり弱気になる必要はないのではないだろうか。 (丸)

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