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漫画「ロダンのこころ」内田かずひろさん 3年前に一瞬ホームレスに…「不安が当たり前。不安が平常心です」【あの人は今】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月22日 9時26分

漫画「ロダンのこころ」内田かずひろさん 3年前に一瞬ホームレスに…「不安が当たり前。不安が平常心です」【あの人は今】

内田かずひろさん(C)日刊ゲンダイ

【あの人は今こうしている】

 内田かずひろさん
 (漫画家/59歳)

  ◇  ◇  ◇

 かつては大抵の家庭が新聞を取っていた。堅苦しい記事が多い新聞のなかで、漫画はホッと一息つける存在だった。1996年4月から朝日新聞に連載されていた、犬が主人公の「ロダンのココロ」も、犬から見た家族や人間の姿が描かれ、ほのぼのとして癒やされ、少し哲学的でもあった。描いていた漫画家・内田かずひろさんは今、どうしているのか。

「この3月に、4コマ漫画とエッセーで構成する『ロダンのココロ国語辞典 と、言葉をめぐる僕の視点』を出版しました。4コマ漫画の本を出すのは久しぶりなんです」

 東京メトロ・新宿三丁目駅直結の喫茶店内の会議室で会った内田さん、まずはこう言った。

「最近は出版社を頼らず、SNSで漫画を発信してデビューしたり、ヒットしてアニメにまでなったりする時代。僕はだんだん絵の仕事が減ってきて、去年は全然仕事がなかったから、4月からツイッター(現X)で『ロダンのココロ』の新作4コマ漫画を発信し始めました。でも、期待したほどには広がらない。そんなとき、『ホームレスの経験などをエッセーに』と依頼してくれた大和書房の編集者を思い出し、連絡したらこの本の出版につながりました」

 内田さんは3年前の1月、ホームレスになっていたのだ。

「ほんの一瞬なんですけどね。住んでいたアパートが建て替えだというのに、歌人・枡野浩一さんとの共著『みんなふつうで、みんなへん。』の挿絵を描いているうちに退去日が来てしまって……。公園で、寝袋で寝るハメになってしまいました。僕は目の前のひとつのことに集中すると、他が見えなくなってしまうタチ。いつも土壇場で何とかなっていたので、そのときも何とかなると思っていました。でも、自分だけではどうにもならなくなり、結果、多くの方に助けてもらいました。その経験から、できるだけ早い段階で相談することは大事だと思いました」

 公園ではなく、せめて、カラオケボックスなどでしのげば、と思うが……。

「そんなお金はありませんでした。まさか自分がホームレスになるとは、自分でも思っていませんでした」

家賃55000円のアパートで1人暮らし

 厳しい寒さに耐えられず、友人宅に転がりこみ、生活保護を受けようと福祉事務所に相談した。

「福祉事務所の方は親身になってくれたんですけど折り合いがつかず、生活保護は断念しました」

 枡野さんや、歌人・天野慶さんら友人に助けられ、さらに状況を知って駆けつけてくれた、ホームレスを支援する一般社団法人「つくろい東京ファンド」が提供する、吉祥寺の部屋に3カ月滞在。その間にアルバイトを始め、新居を見つけられたそうだ。

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