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今年の夏は観劇三昧…新宿・花園神社で39年続いてきた「椿組」野外劇終了に感慨ひとしお(ラサール石井)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月25日 9時26分

今年の夏は観劇三昧…新宿・花園神社で39年続いてきた「椿組」野外劇終了に感慨ひとしお(ラサール石井)

【ラサール石井 東憤西笑】#274

 さて、私の全収入の大半は舞台からであり、出演か演出かまたその両方か。のべつやって年6、7本。大劇場もあれば小劇場もあるから、本数は多くても実入りはテレビに比べりゃ大したことはない。

 ところがこの夏はその連続がぽっかりあいてしまった。日頃忙しくてなかなか知り合いの芝居を見られないので、時間があくと観劇三昧ということになる。収入はないのに芝居ばかり見て、今はすっかり観劇貧乏だ。

 NYLON100℃「江戸時代の思い出」、いや、素晴らしいほどのナンセンス。大倉孝二や三宅弘城、今や人気者だらけの劇団の初の時代劇。1ミリも話が進まない3時間。さすがケラ、よく書けるなあ。もちろん笑いはふんだんにあるが、それももう目的じゃない感じ。

 4人ミュージカル「BATS IN THE BELFRY」、予備知識なく見たら全編英語。でも日本オリジナル。セリフの20%もわからなかったが、楽曲もよく感動。若くして死ぬが、残された一人娘を見守るためバンパイアになって生きる母親、池田有希子ちゃんに泣けた。

 2日間で仮想定規「百こ鬼び夜と行く・改」、流山児★事務所「叛乱のオペラ」、椿組「かなかぬち~ちちのみの父はいまさず~」とアングラ3本。共通するのは「白塗り」「はだけた着物」「歌と踊り」「時代を照射するエネルギー」。河原乞食と呼ばれた役者の原点。先日亡くなった唐十郎氏の影響がそこここに。

 とくに椿組はアングラの雄・外波山文明氏が39年間続けてきた新宿・花園神社境内での野外劇。ついに今年で野外は終わるそうだ。

 南北朝時代の奈良。楠木正成を名乗る盗賊集団の頭領(山本亨)と女頭領(松本紀保)。いやこの紀保ちゃんがよかった。白石加代子かと思った。最終公演にふさわしい大スペクタクル。客席も超満員。隣の席には相島一之くん、先日までここで新宿梁山泊テント芝居「おちょこの傘もつメリーポピンズ」に出てフライングしていた中村勘九郎くん(まるで平成中村座の勘三郎みたいだったが、考えたら唐十郎を見て作ったのが中村座だから、先祖返りが何度も行われているのだ)、そして渡辺えりさんも。みんなテントの最後を見届けたいのだ。

 ラストシーンで物凄い風が吹いてきた。野外の醍醐味。唐さんが吹かせたのかも。

 外波さんお疲れさまでした。

(ラサール石井)

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