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“バーバリーロス”乗り越え7期ぶり黒字転換も…三陽商会にのしかかる経営課題(重道武司)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月25日 9時26分

“バーバリーロス”乗り越え7期ぶり黒字転換も…三陽商会にのしかかる経営課題(重道武司)

三陽商会の本社(C)日刊ゲンダイ

【経済ニュースの核心】

 因果応報──というべきか。それともリストラされた社員らの怨念か。

 2015年に40年以上にわたって続いた三陽商会とのライセンス契約を打ち切り、三陽を奈落の淵にまで追い込んだ英高級ブランドのバーバリー・グループ。そのバーバリーが今、苦境に立たされているという。

 片や三陽は23年2月期に7期ぶりに営業損益の黒字転換を果たすと、24年2月期には新型コロナ禍明けのリベンジ消費と好調なインバウンド需要の流れに乗って36%増益を達成。今期も33億円と8%超の利益成長を実現する見込みだ。

 バーバリーが先週発表した今年4~6月期の既存店売上高は4.58億ポンド(約930億円)。前年同期に比べ2割超落ち込んだ。中国を柱とする最大市場のアジア太平洋で23%減らしたのをはじめ、北南米も同じく23%ダウン。EMEIAと呼ばれる欧州・中東・インド・アフリカも16%後退した。プラスだったのは「6%伸びた日本だけ」(ロンドン市場関係者)だったとされる。

 中国景気の低迷に、世界的な“粘着インフレ”で高額品に対する消費者の財布のヒモが固くなったのが主因。これにアウトレットの多用に伴う値引き販売によるブランド価値の低下も重なった。同社によれば足元の7月も事態が好転する兆しはなく、このままでは25年3月期上期は「営業赤字に転落するのは必至」だとしている。このため通期の配当は停止。事実上のCEO解任などトップ交代まで余儀なくされた。

 もっとも三陽側から見れば「生ぬるい」といったところだろう。“バーバリーロス”により大幅な業績悪化に直面した三陽の構造改革はそれほど凄まじいものだった。4度にも及ぶ希望退職実施に、銀座の本社ビル売却や相次ぐ店舗閉鎖……。

「鮮血が流れ、生首が飛んだ」。OB関係者の一人は振り返る。

 ただ復活への発射台に立った感のある三陽だが、予断は許さない。営業黒字が定着化しつつあるとはいえその水準は低く、何より「自社ブランドで大きな柱をつくる」という最大の経営課題はなお克服されたとは言えないままだ。

 財務の守りに徹するあまり、将来を見据えた成長投資にも迫力を欠く。因果が再び巡ってくる可能性もゼロとは言い切れない。

(重道武司/経済ジャーナリスト)

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