自民党「地域金融議連」が初会合 「公租公課税滞納」倒産が重要な“裏テーマ”か?(小林佳樹)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月27日 9時26分
片山さつき衆院議員(C)日刊ゲンダイ
【経済ニュースの核心】
6月20日に自民党の有志議員が立ち上げた地域金融機関の取り組みを後押しする「地域金融議員連盟」が金融界で注目されている。会長には財務省OGの片山さつき参院議員が、事務局長は同じく財務省出身の滝波宏文参院議員が就いた。初会合には小泉進次郎元環境相のほか財務省出身議員ら50人あまりが出席した。
議連は、「新型コロナウイルス禍の実質無利子・無担保融資(ゼロゼロ融資)で企業の倒産が抑えられたことから、地域金融機関の社会インフラとしての重要性を訴える」としており、会長の片山氏は「地域金融機関がいかに生き残るかには政治が必要だ」と語った。党の金融調査会とは別に、機動的に金融機関への支援を議論するとしている。
一方、金融界では議連の取り組みについて、「コロナ対応の政府の施策が終了し、中小企業の倒産が急増しつつある。そのツケは地方の金融機関に及ぶ。議員連盟はそうした問題意識がある」(メガバンク幹部)とみている。
そのひとつ、重要な「裏テーマ」とみられているのが、「公租公課滞納」倒産の急増だ。
帝国データバンクの調査によると、消費税や固定資産税、厚生年金保険などの「公租公課」を納付できない、または滞納による差し押さえで経営に行き詰まった「公租公課滞納」倒産は、2023年度に138件判明した。その後も月次ベースでは、24年1月が14件、2月が16件、3月が20件と、過去最多を更新し続けている。
公租公課のうち、企業にとって特に負担の重い社会保険料は、コロナ禍に最長3年にわたる納付猶予措置が設けられ、企業の資金繰りを支えてきた。しかし、ポストコロナに向けて企業活動が正常化するにつれ特例措置も順次縮小。業績不振のなかで消費税と社会保険料の支払いに窮した企業や、猶予期間中に業績を立て直すことができなかった企業の倒産増加が目立っているという。
なかには、「年金事務所に売掛金をいきなり差し押さえられて、事実上の倒産に追い込まれた事例もある」(地銀幹部)という。
また、「公租公課滞納」倒産のほとんどのケースは破産のため、「清算型」の倒産が多くを占めている。「再生型」は民事再生法を中心に少数にとどまっている。
日本年金機構によると、厚生年金保険を含む社会保険料を滞納している事業所は、22年度末時点で14万811事業所に上るという。政治の出番かも知れない。
(小林佳樹/金融ジャーナリスト)
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