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”勘違い”を大事にして 阿部サダヲはどんな役も生き生きと演じてきた【今週グサッときた名言珍言】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月28日 9時26分

”勘違い”を大事にして 阿部サダヲはどんな役も生き生きと演じてきた【今週グサッときた名言珍言】

阿部サダヲ(C)日刊ゲンダイ

【今週グサッときた名言珍言】

「なかなかできないですよね。でも、いつかやりたいと思ってます。できるようになればいいですよね」
 (阿部サダヲ/NHK「あさイチ」7月12日放送)

  ◇  ◇  ◇

 小劇場出身ながら、大河ドラマの主演を務めるなど、いまや日本を代表する俳優となった阿部サダヲ(54)。所属する劇団「大人計画」主宰の松尾スズキからは「下からまぶたを閉じてみて」だとか、「天井歩いてみて」といった、できるはずのないムチャ振り的な演出を受けることもあるという。それを聞いたときのことを回想して語った言葉を今週は取り上げたい。

 阿部サダヲはもともと、野球少年だった。プロを目指していたが挫折。それまで野球のことだけを考えていたため、何をしていいか、分からなかった。とりあえず大手家電量販店に就職するも、上司に「退職届の書き方」という本を渡されるほど無気力。その後は、コンサートの警備員、居酒屋、トラック運転手など数々のバイトを「死んだように」渡り歩いていた。

 そんなとき、「いま、小劇場が熱い!」という深夜番組の特集を見て、興味を持ち、大人計画のオーディションを受けたのだ。

 オーディション会場に現れた阿部は軍服姿で眉毛を剃り、金髪。目つきも顔色も悪かった。松尾は劇団員の芸名を自らつけるが、阿部の候補のひとつが「死体写真」だったほど。しかし、即興芝居をやらせると、抜群に面白かった。結果、合格した彼は「子役あがり」と噂されるほど、すぐに頭角を現した。1992年に舞台デビューすると、程なく深夜の連続ドラマ「演歌なアイツは夜ごと不条理(パンク)な夢を見る」(日本テレビ系)への出演を果たした。

 演技をすると、ハイテンションなイメージだが、記者会見やトーク番組などに出演する時の彼は、星野源から「あんなに声のちっちゃい主役初めて見た」(NHK「ごごナマ 3時間いだてんSP」2019年1月4日)と笑われるほどローテンション。「自分の言葉でしゃべるのが好きじゃない」「『何言ってるんだ、あいつ』と客観的に思ってしまう」と語っている(TBS系『A-Studio』13年6月7日)。役に入ったときに力を発揮する生粋の「役者」なのだ。

 阿部は「“勘違い”をする」ことを大事にしているという。「勘違いをすることが面白かったり、役者としても勘違いしてないと演じるのが無理なときもあるんですよね」(イード「cinemacafe.net」09年12月16日)と。そのいい意味の「勘違い」で、どんな役も生き生きと演じてきたのだ。ならばいつか、天井を歩くことも可能かもしれない。

(てれびのスキマ 戸部田誠/ライタ―)

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