1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 芸能総合

米大統領選「ハリスの楽勝はないのか」を考えてみた…バイデンが巧妙なアシスト(元木昌彦)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月28日 9時26分

米大統領選「ハリスの楽勝はないのか」を考えてみた…バイデンが巧妙なアシスト(元木昌彦)

カマラ・ハリス氏は「ガラスの天井」をぶち破れるか(C)ロイター=共同

「もしトラ」が「確トラ」に──。日本の多くのメディアはバイデンが大統領選から撤退した日の朝、そう報じた。

 トランプが銃撃された直後、星条旗を背景に血を流しながら拳を突き上げたトランプの姿を捉えたAP通信の写真は、クリント・イーストウッドが映画「父親たちの星条旗」で描いた「硫黄島に掲げられた星条旗」(ピュリツァー賞)に構図がよく似ている。

「2枚の写真を頭の中で重ね合わせて、トランプ氏に『流血の勝利』をイメージした米国人が少なくなかったであろうことは想像に難くない」(佐藤卓己上智大学教授=朝日新聞デジタル7月21日)

 昔、アメリカ人の理想の男性像はジョン・ウェインだった。強さはもちろんだが、強烈な愛国者だった。レーガン元大統領は在任中に狙撃されたが、シークレットサービスのとっさの機転のおかげで、一命をとりとめ、強い大統領として国民に愛された。その列にトランプが再び連なるのだろうか。

 私はそうは思っていない。カマラ・ハリス(59)に勝機十分ありと考える。といっても英語もできず、アメリカ政界に知己がいるわけでもないから床屋政談の域を出ないが、長年の編集者の“カン”とでもいえばいいのか。バイデンは確かに老いてもうろくした。だが、彼の「トランプ憎し」は本物である。彼なりに引き際をいつにするかを考え抜いたのであろう。あまり早く撤退表明すれば、民主党内から立候補する人間が出てくるかもしれない。

 民主党大会までギリギリの時点まで引っ張って、自らがハリスを後継候補に指名すれば、民主党はまとまらざるを得ない。事実、すんなり党内はハリスで結束した。

 ハリスのウリは、女性・黒人・アジア系で初めての副大統領で、彼女が大統領になれば、ヒラリー・クリントンができなかった女性の進出を阻む「ガラスの天井」をぶち破ることになる。

 アメリカ人は初めてが好きである。オバマしかり、ヒラリーも得票率ではトランプの46%を上回る48%を獲得したのである。

 ヒラリーは弁護士出身だがハリスは検事出身。カリフォルニア州司法長官、連邦上院議員から副大統領と、経歴に見劣りはない。相手を追及する舌鋒は鋭いという。

 外交経験不足を懸念する声があるが、人権問題には熱心で、イスラエル軍のガザ攻撃で多数の民間人の死者が出ていることを批判している。人工妊娠中絶の権利を認めようという姿勢は女性票取り込みに有利に働くはずだ。

 トランプ大統領実現に不安を抱いている黒人、ヒスパニック、現状に不満を抱いている若者たち、反トランプ派の白人まで取り込められれば、楽勝もあり得る。

 それにはレーガンが最初に使い、トランプが多用する「MakeAmericaGreatAgain」に代わるキャッチフレーズが欲しい。こんなのはどうだろうか。

「BringbackpeacefulandprosperousAmerica(平和で豊かなアメリカを取り戻そう)」

 偉大な国よりも平和な国がいい。若者層にもアピールできるのではないか。

 もし人権派のハリスが大統領になったら、私は聞いてみたいことがある。沖縄で繰り返し起きている米兵たちによる性的暴行事件について、どう思うのか。起訴までは米軍が容疑者の身柄を拘禁し続けることなどを定めた日米地位協定を即刻、改定、または破棄すべきではないか。戦後一貫してアメリカの植民地であり続けた日本の“独立”を認めてくれ。

 トランプでは取り付く島もないだろうがハリスなら、もしかして……甘すぎるかな。

(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください