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安倍派会計責任者から不記載中止の進言を受けた幹部は誰か…マスコミは真相解明を諦めるな(村山治 特別寄稿)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月28日 9時26分

安倍派会計責任者から不記載中止の進言を受けた幹部は誰か…マスコミは真相解明を諦めるな(村山治 特別寄稿)

堀井学議員も元安倍派(C)日刊ゲンダイ

【特別寄稿】

 事件は「生もの」。とはいえ、昨今の事件の「足の早さ」は驚くばかりだ。ついこの間まで世間を騒がせていた自民党の裏金事件である。18日には、安倍派の裏金議員のひとり、堀井学衆院議員が裏金捜査の中で判明した公職選挙法違反(有権者への違法な香典提供など)容疑で東京地検特捜部から議員事務所の捜索を受け、大々的に報道されたが、本筋の裏金事件報道はすでに「過去のできごと」扱い。都議選で自民党が2勝6敗と惨敗したように、裏金問題に対する市民の怒りは深い。簡単に終わらせていいはずがない。

 安倍派の幹部政治家が不起訴となり一身に罪を背負う形となった同派の「金庫番」、松本淳一郎被告の5月10日の初公判。検察側が冒頭陳述で真相の一端を明らかにするのではないかとの期待は見事に裏切られた。

 起訴状を補足説明するだけの木で鼻をくくった内容。関与した政治家名や事件の構造的な背景、誰がいつ、何のために始めたのか、22年8月の還流復活の経緯などは一切、明らかにしなかった。

 もっとも、起訴事実の立証に不必要な捜査情報の開示をしないのは検察の伝統。まして国会開会中なら一層、不訴追議員のスキャンダル情報で審議を止めてはならないという忖度が働く。金丸信・元自民党副総裁の5憶円闇献金事件など過去の政治家事件でも同様の検察側の忖度があったことは、上梓したばかりの『自民党と裏金 捜査秘話』(日刊現代/講談社)の中でも指摘した通りだ。

 さすがに、初公判を受けて読売新聞の社説(11日)は「被告は法廷の場で真相を語らねばならない」と求めた。

 それが背中を押したか、自民提出の政治資金法改正案の強行採決が行われた6月18日に開かれた第2回公判で、松本氏は弁護団の質問に対し、22年8月の還流再開は「ある幹部から求められ、8月の幹部会議で継続が決まった」と証言した。

 政治倫理審査会や会見で同様の説明をしたのは安倍派座長だった塩谷立・元文部科学相だけ。下村博文・元文科相、西村康稔・前経済産業相、世耕弘成・前党参院幹事長の3議員は「8月の会議では結論が出なかった」と答えており、説明の食い違いが浮き彫りになった。

各紙は地味な扱い、フォロー報道もなし

 しかし、規正法改正案の強行採決で予定通り国会閉会の流れとなったためか、各社の扱いは概して地味。裏金事件をリードしてきた朝日の扱いは社会面2段だった。

 読売はその幹部は下村氏と実名で報じ、共同通信はこれに先立つ6月はじめに下村氏が松本氏に再開を要求したと派閥関係者が特捜部に供述していたと報じていたが、下村氏は否定した。

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