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トランプ氏がもし撃たれていたら? AR-15銃の恐怖の殺傷力(シェリーめぐみ)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月29日 9時26分

トランプ氏がもし撃たれていたら? AR-15銃の恐怖の殺傷力(シェリーめぐみ)

米東部ペンシルベニア州での集会で演説中に発砲されたトランプ前大統領(中央)/(C)AP=共同

【ニューヨークからお届けします】

 トランプ元大統領に対する暗殺未遂では、銃弾が耳を掠めて九死に一生を得ました。

 しかしすぐ近くにいた支持者の1人が亡くなり、2人が重傷を負いました。実はこの銃は普通の拳銃に比べ、格段に破壊力が強いことで知られています。今回の銃撃事件をきっかけに、アメリカではこのAR-15銃に改めてスポットが当たっています。

 AR-15は軍隊で使用されているライフルを、連射できないようにした半自動小銃です。ここ数年起きている多くの銃撃事件でこの銃が使われていて、最近では2022年5月テキサス州の小学校で、子供19人を含む21人がこの銃で殺されました。

 NRA(全米ライフル協会)によれば、「AR-15は射撃競技や狩猟、自衛用に最もよく使われるライフル」だといいます。ワシントン・ポスト紙によると、2023年には米国の成人の約20人に1人がAR-15を所有していたそうです。

 その人気の理由は、軽くて正確に撃つことができ、反動が比較的少ないことだとされています。価格の安さも魅力で、新品が400ドル(6万円)から。弾薬も安く、全てオンラインで購入できます。

 しかしAR-15は恐ろしい武器です。他のライフルよりも銃口速度が速く、音速の3倍近い高速で飛び出すため、骨や臓器を破壊します。また弾薬は体内でバラバラになりやすく、ある医師は破壊された臓器を、ハンマーで叩き割られた熟れすぎたメロンに例えたほどです。射出口創も大きいため出血も激しく、生存率も著しく低くなります。

 このような恐ろしい武器がなぜこれほど出回っているのでしょうか? その背景には、アメリカの長い銃の歴史があります。特に銃撃があったペンシルバニア州では、狩猟や射撃がレジャーとして定着しています。それを支えているのが、トランプ氏が属する共和党とNRA(全米ライフル協会)との長い癒着関係です。彼らは憲法の自衛権を根拠に「犠牲者を減らすためには、悪人から銃を奪い、善人がもっと銃を持つべきだ」と主張、そのためアメリカ人の過半数はもっと厳しく規制してほしいと願っているのに、少数派の意見が通ってしまっている状況です。

 かつてレーガン大統領の暗殺未遂の後には、新たな銃規制法案が成立しました。しかし、トランプ氏が狙撃されても「規制しよう」とは誰も言い出しません。残念ながらそれだけ推進派のパワーが強まったということでしょう。

(シェリーめぐみ/ジャーナリスト、ミレニアル・Z世代評論家)

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