フェンシング男子エペ加納虹輝「フレッシュ炸裂」で “協会の汚名”をすすぐ史上初の五輪金！

コーチと抱き合う加納（Ｃ）共同通信社

　加納虹輝（26）が日本フェンシングの歴史を塗り替えた。

　日本時間29日午前5時過ぎに行われた決勝で、地元フランスの英雄・ボレルを15ー9と圧倒。3回戦で見延和靖、準々決勝で山田優を破った〝宿敵〟を倒し、個人種目では日本初の金メダルを獲得した。

　2008年の北京大会で日本人として初めてのメダルとなる銀メダルを獲得した太田雄貴の活躍に憧れ、剣を握ったのは小学6年生の時。身長173センチとフェンサーとしては小柄な体格はリーチの点で大きなハンデとなるが、それを補って余りある圧倒的なスピードと剣さばきで、21年東京五輪男子エペ団体の金メダル獲得に貢献。昨年は世界ランク1位にまで上り詰めた。この日の決勝でも矢のように飛び込む得意技の「フレッシュ」を炸裂させ、リーチに勝るボレルを打ち破った。

「加納の快挙を本人以上に喜んだのが、不祥事続きだった日本フェンシング協会です」

　とは、さるスポーツライター。男子エペ団体の金メダルに沸いた東京五輪の翌年、沖縄で行った強化合宿がケチのつき始めだった。選手とコーチ、その家族などが参加したその「合宿」が、実際は「レジャー旅行」だったとの報道に批判が殺到。しかも、その「レジャー合宿」の費用200万円を日本オリンピック委員会（JOC）からの助成金、つまり公金を申請して捻出する予定だったことが判明し、火に油を注ぐ結果になった。

「さらに、それに前後して代表選手と元代表選手の不倫も発覚。14年には協会の前事務局長による国の補助金1890万円の不正受給が発覚し、理事10人が交代する醜聞もあった。東京五輪前にフェンシング協会の会長に就任したタレントの武井壮が、抜群の知名度と発信力を武器に競技のPRと財務基盤の強化を期待されながら、任期満了を理由にわずか1年半で退任するなど、とにかくトラブルが続発していましたからね」（同）

　今度こそ選手の快挙を無駄にはできない。