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ダイドーリミテッド株は高値で売り抜けか? 旧村上Fグループのしたたかさ(有森隆)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月1日 9時26分

ダイドーリミテッド株は高値で売り抜けか? 旧村上Fグループのしたたかさ(有森隆)

山田政弘会長(C)共同通信社

【企業深層研究】ダイドーリミテッド(下)

 6月27日、ダイドーリミテッドの株主総会が都内で開かれた。32.2%の議決権を持つという旧村上ファンド系のアクティビスト(物言う株主)のストラテジックキャピタル(以下SC)が株主提案を行っており、その結果が注目された。

 会社側とSC側は、それぞれ6人の取締役候補を提案。過半数の賛成率を得た候補のうち、賛成率が高い順に8人が選任される。結果は、会社提案から5人、SC側提案から3人が選ばれた。

 7月1日、ダイドーは関東財務局に臨時報告書を提出し、株主総会での取締役選任の賛否の結果を開示した。その数字は両陣営のつばぜり合いの凄まじい爪痕を見せつけた。

 会社側が提案した6人の取締役の賛成比率は50.59~51.73%。会長兼最高経営責任者(CEO)に就いたコンサルタントの山田政弘氏は51.25%だった。

 SC側の候補6人の賛成比率は48.96~51.73%。元ブルックブラザーズCFOの中山俊彦氏は50.70%、元オンワード樫山社長の大澤道雄氏は51.15%。あと1人は野村証券出身で、森トラストグループの不動産投資会社の社長を務める村田正樹氏が51.73%。残り3人は賛成率が50%未満だった。

 SC側の社外取締役の一人は、その後、自己都合で退任している。

 総会後、新会長に就いた山田政弘氏は、会見で「(株主提案の取締役は)必ずしもSCの意向を受けて活動するわけでないと聞いている」と牽制した。

 ダイドーの業績は厳しい。主力のアパレル事業が不振で、24年3月期の売上高は286億円で、11期連続の営業赤字を記録している。不動産事業の収益で最終利益を計上するヤリクリ決算が続いている。

 もともとは大同毛織という紡績会社だった。1964(昭和39)年の東京オリンピックで日本選手団が着用した赤いジャケットと純白のスラックス、スカートの生地を提供した名門だ。だが、紡績業が衰退し、紡績から撤退。主力工場のあった神奈川県の小田原工場の跡地でショッピングセンター、ダイナシティを運営、これが主力事業となった。SCは「ダイナシティの売却、不動産事業からの撤退」を求めている。

 さらに、旧村上ファンド系の南青山不動産と、村上氏の長女・野村絢氏と合わせて5.14%を保有する大株主として登場し、攻勢の手を緩めない。ダイドーの新経営陣に改めて株主還元を求めた。

 7月4日、25年3月期の年間配当を、1株当たり100円に積み増すと発表した。従来予想より95円多い。それどころか27年3月期までの3年間は年100円の配当を基本とする。同時に最大50億円程度の自社株買いを実施する。株式還元の大盤振る舞いだ。

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