1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

日立が家庭用エアコン「白くまくん」切り捨て…業務用とで雇用にも明暗(重道武司)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月1日 9時26分

日立が家庭用エアコン「白くまくん」切り捨て…業務用とで雇用にも明暗(重道武司)

日立のエアコン「白くまくん」/(提供)日立ジョンソンコントロールズ空調

【経済ニュースの核心】

 地球温暖化で北極海の氷が解け出すことで絶滅の危機に瀕(ひん)しているとされるホッキョクグマ。餌となるアザラシを思うように捕獲できず、衰弱死してしまうためだ。現在の生息数は約2.6万頭。2100年までにはこれがゼロになるとも言われているが、“もう一つのクマ”はそれよりはるかに早く消滅してしまいそうな情勢だ。日立製作所の家庭用エアコン「白くまくん」--である。

 日立が空調事業の再編を決めた。米ジョンソン・コントロールズ・インターナショナル(JCI)との空調合弁会社株(持ち分4割)すべてをJCIとともに自動車部品世界大手の独ボッシュに売却する。成長性の高いIT・エネルギー・社会インフラ分野に重点投資を絞り込む「選択と集中」の一環だ。

 同合弁「ジョンソンコントロールズ日立空調」は国内で家庭用と業務用の2つの空調事業を展開している。売却に当たってはまず、このうち業務用の生産拠点である清水事業所(静岡市)を切り離して日立の白物家電子会社、日立グローバルライフソリューション(GLS)に移管。そのうえで保有株を譲渡し、家庭用の生産拠点の栃木事業所はそのままボッシュの傘下に入る。25年4~6月までに一連のディールを完了させたい考えだ。

「建設ラッシュが続くデータセンター向けなどに今後も需要増が見込める」(日立関係者)業務用を自社に温存する一方、「白くまくん」はITとの親和性が低いとみて切り捨てる格好だ。1250億円の株売却益は26年3月期決算に計上する。

 日立では「栃木事業所の従業員(約1600人)の雇用は維持される。またボッシュとライセンス契約を締結、GLSを通じて『白くまくん』ブランド製品の国内販売は当面、続ける」(幹部)としている。「白くまくん」がすぐに消えてなくなるわけではないというわけだ。

 ただそれもボッシュの腹一つといったところだろう。国内販売が振るわなければ抱え込んでおくメリットはないし、次期新製品の開発などに投資を振り向けるのは無意味だ。ライセンス期間など契約の具体的な中身の詰めもこれからだ。

 栃木事業所関係者からは「リストラされそうになったら環境保護団体などに呼び掛けて『白くまを守れ!』の叫びを挙げてもらう」といった半ば“自虐ネタ”も漏れる。

(重道武司/経済ジャーナリスト)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください