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免疫チェックポイント阻害薬によるがん免疫療法はどう評価されているのか…医師・患者1000人調査

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月1日 9時26分

免疫チェックポイント阻害薬によるがん免疫療法はどう評価されているのか…医師・患者1000人調査

小野薬品工業メディアセミナー「ICIによるがん免疫療法のいまとこれから」/(提供写真)

 かつては死に至る病気だったがんが、共生する病気に近づきつつある。 その原動力のひとつとなったのが、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)によるがん免疫療法だ。ICIとは免疫細胞の働きを抑制する「免疫チェックポイント」を阻害する治療薬で、免疫がん細胞への攻撃力を保つ。日本国内で8種類が承認、使用されている。

 今年はICIの国内誕生から10年。いまの評価はどうか?

 7月24日、都内で「ICIによるがん免疫療法のいまとこれから」(主催:小野薬品工業=以下小野薬品、ブリストル・マイヤーズ スクイブ)と題するメディアセミナーが開かれた。小野薬品は2014年にICIの先駆けとなるオプジーボを世界で初めて発売した国内製薬会社である。

 同社の相良暁会長は「新しい治療法を推定19万人に供給できた。よく効いた患者さんや家族らから感謝の声が寄せられ製薬会社ならではの喜びを感じているが、課題を含めてこの治療法の認知度アップが必要」と挨拶した。

 実際、同日発表の「ICIを用いたがん免疫療法の現状」の調査結果がそれを浮き彫りにした。 調査はがん治療に携わる医師100人とがん患者900人(ICI療法経験者200人、未経験者700人)を対象にオンラインで実施。医師の90%がICIを「新たながん治療の選択肢として地位を築いた」、87%が「さらなる発展を期待したい治療法である」と評価した。ICIによるがん治療経験患者の68%が「治療選択肢が増えてうれしい」「がん患者にもっと広く知られてほしい」と回答した。

■エビデンスなき治療に厳格措置を求める声も

 その一方で「抗がん剤治療などとは異なる副作用があることを知っている」と回答したのは、がん免疫療法を知っていると自認しているICIによるがん治療未経験患者の26%にとどまり、がん免疫療法特有の副作用への認知・理解が低いことがわかった。

 患者の認知向上のための課題を医師に聞いたところ、40%が「がん免疫療法と称する、エビデンスのない医療行為への厳格な措置が必要」と回答。「ICIに関してがん患者が正しく理解できる情報」を61%の患者が希望した。

 がんの免疫療法は、大規模な臨床試験などで治療効果や安全性が科学的に証明されていない、民間の治療法も存在する。このため、がんの治療法を検討する患者が困惑する可能性もある。しかも、適応がん種も拡大しており、より信頼性の高い医療情報の提供の必要性が明らかになっている。

 近畿大学医学部内科学腫瘍内科部門の林秀敏主任教授は、「ICI投与で2割のがん患者さんは長生きできるようになったが、他の治療法との組み合わせでさらに改善の余地がある」と語った。

 なお、メディアセミナーではNPO法人がんノートの岸田徹氏司会でICIにより、末期肺がんから寛解に至った社会保険労務士の清水公一さん、ステージ4の腎細胞がんで治療中の車椅子ダンサーの林美穂さんの座談会も行われた。

 がん治療は日々進化しており、科学的に証明されたがん治療情報を生活者全体が正しく知ることが、がん患者の命を救うことにつながる。小野薬品では患者向け啓発サイト「ONO ONCOLOGY」や「プレーン・ランゲージ・サマリー」(オプジーボの臨床試験結果の論文の平易な日本語要約文)を提供しているという。

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