1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 芸能総合

是枝裕和監督デビュー作「幻の光」チャリティー上映 プロデューサーが語る能登への恩返し

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月1日 10時52分

是枝裕和監督デビュー作「幻の光」チャリティー上映 プロデューサーが語る能登への恩返し

映画「幻の光」(C)1995 TV MAN UNION

 能登半島地震から1日で7カ月。石川県輪島市を舞台にした、1995年公開の映画「幻の光」が2日からチャリティーで再上映される。是枝裕和監督の長編映画デビュー作で、「輪島の朝市」など被災前の能登地域が記録されている。まずは東京の「Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下」で限定上映され、その後各地を巡回。収益から諸経費を除いた全額が輪島市に届けられる。再上映を発案したプロデューサーの合津直枝さん(顔写真、テレビマンユニオン所属)に、リバイバルに向けた思いを聞いた。

■「地元でできることならなんでも協力しますよ」

 ──映画の企画段階では苦戦していたと聞きました。

「主演も監督もプロデューサーも新人で暗い話でしたから、3年以上製作資金も集まらず配給先も決まらずで、もう諦めようと断念するために輪島市を旅したんです。その時、偶然にも観光協会の方から『地元でできることならなんでも協力しますよ』と言っていただき、その言葉に勇気を得て、そこから徐々に計画が進んでいきました」

 ──どのような現地の人々の協力があったのでしょうか。

「舞台になる港町を探し出してもらったり、地元の大工さんに廃屋を主人公たちの家に改築してもらったり。婦人会の炊き出し、激安な値段での宿の提供。朝市のシーンなどではエキストラとして大きな協力をしてもらいました。予算も厳しくスタッフも最少人数だったので、地元の人たちの協力は本当に大きかったです。輪島市のみなさんの協力がなければ、映画は完成しませんでした」

「元気な輪島の風景が映っている」

 ──今回、なぜチャリティーで上映することになったのですか?

「被災地の復興がいっこうに進まない様子を見ると、政府や行政が高齢者が諦めるのを待っているようにも見えて……。私は活動家ではないですが、誰かが何かをするのを待つより、自分たちで何かできないかと。1900円でこの映画を見てもらうと、半分近くのお金を輪島に届けられます。映画の力で輪島を応援することが、29年前助けてもらったことの恩返しになると思うんです」

 ──見どころは?

「朝市通りをはじめ、傷を負っていない元気な輪島の風景や、この映画に惜しみなく協力してくれた輪島の人々の生活、優しさ、おおらかさがしっかり映っています。そこに思いを馳せて見てほしい。また、愛する人を亡くした主人公が喪失から『再生』していくのと同様に、輪島も必ずや再生へと向かうはず。それを後押しすることが今回の再上映の目的なので、主人公の姿と重ねて見てほしいです」

(聞き手=橋本悠太/日刊ゲンダイ)

▽あらすじ 祖母が、そして夫が突然、死へと旅立った。愛する人を次々と失った記憶と引きとめることができなかった悔恨を胸に秘め、主人公・ゆみ子は奥能登に嫁ぎ、新しい家族に囲まれて平穏な日々を送るが──。作家・宮本輝の同名小説が原作。ベネチア国際映画祭(1995年)で、金のオゼッラ賞(撮影)を受賞。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください