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夏山の「低体温症」に要注意!1日10人の死亡事例も…綿素材の下着にもリスクが

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月2日 9時26分

「低体温症は寒さという環境要因だけで起きるわけではありません。それ以外に3つの要因が関係しています。ひとつは熱の喪失です。代表的なものは雨や風の影響です。水の熱伝導率は空気の約25倍あるため、体の表面が濡れているとすぐに体温を奪われます。体感気温は風速1メートルごとに1度低下する。雨に濡れ、風にさらされた状態でじっとしているだけで、体温は奪われていきます。日常的によく使用される綿素材の下着は、水分が乾きにくく体表から熱を奪いやすいので、化繊やウールのものを選ぶといいでしょう。2つ目は熱産生機能の低下です。震えや運動による熱産生には、筋肉とそれを動かす栄養が必要です。栄養不足や疲労状態に陥り、体内で熱を生み出す機能が低下すると、体温の維持が困難になります。3つ目は体温調節機能の低下です。持病やお酒、薬、あるいは頭部外傷や脳卒中の影響で体温調節機能がうまく機能しなくなることがあります」

■防水透湿性素材の雨具や靴を準備する

 こうした要因が重なれば、本来37度ある深部体温が外気温と同じ程度まで下がる可能性があり、数字上はあまり低く感じない気温であっても低体温症を発症しうると伊藤医師は言う。

「高山では朝夕や悪天候時にはかなり気温が下がります。建物など雨風をしのぐ場所が近くにあるとは限らず、安全地帯までの行動もまた体力や体温を削る要素となります。荒天が予想されるときは登山の中止や計画変更を考える。防水透湿性素材の雨具や靴に加え、足元が濡れにくいようにショートスパッツを併用してもよい。水分や食事をしっかり取ることなどが重要です」

 では、夏山で低体温症を疑う症状が出たら、どうすればいいのか?

「まず寒さや雨風を遮る対策をすること。熱をつくり出すための燃料となる炭水化物や温かいものを取ること。また、濡れた衣服は脱いで、乾いた衣類の重ね着で体の表面に空気の層をつくること。ペットボトルや水筒のお湯で湯たんぽを作って脇や股間を温めるのもいいでしょう」

 本格的に深部体温が下がると、医療機関において胃洗浄や人工心肺の導入など、大がかりな治療が必要となることもある。低体温症になれば本人はもちろん周囲にも迷惑がかかる。夏山登山を予定している人は低体温症を正しく知り、万一の場合に適切な対策を行うだけの準備をしておくことだ。

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