1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 芸能総合

松坂桃李さんに「わろてんか」で漫才指導を 仕事の取り組み方と真摯な姿勢に心打たれた(本多正識)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月3日 9時26分

松坂桃李さんに「わろてんか」で漫才指導を 仕事の取り組み方と真摯な姿勢に心打たれた(本多正識)

松坂桃李(C)日刊ゲンダイ

【お笑い界 偉人・奇人・変人伝】#203

 松坂桃李の巻

  ◇  ◇  ◇

 吉本興業の創業者・吉本せいさんをモデルにしたNHK連続テレビ小説「わろてんか」(2017年下半期)。私は「漫才指導」として2カ月間、現場に参加をさせていただきました。

 初めて稽古場に伺った時は、テレビで見ている有名な俳優さんが大勢いらして、お笑いの現場とはまた違う緊張感を味わいました。「わろてんか」は月曜日と火曜日が稽古、水曜日から金曜日が撮影というルーティンだったと記憶しています。

 ひととおりご挨拶を終えると、松坂さんが私の元へ近づいて来られ、私の目をまっすぐに見て、丁寧に深々と頭を下げられました。松坂さんがこのドラマのチームリーダーなんだと感じると共に、見つめられると吸い込まれそうになる“オーラ”を感じました。

 私のメインの仕事は漫才指導でしたが、スタッフから「時間の許す限り稽古と本番にも立ち会ってご意見をいただきたい」ということで、午前中は漫才の個別指導、午後からは全体の稽古と本番に立ち会うことになりました。松坂さんはご自分の出番以外のシーンも注視されていて、気づいたことがあれば演出家さんにも積極的に声をかけられ、「より良いものをつくるんだ」という姿勢にあふれていました。

 常に全体に目配りされ、主演が若手の葵わかなさんということもあり、ご自分が「座長」の意識で見られていたのだと思いますが、かといって出過ぎることもなく、いつも自然体で皆が意見を言いやすい空気をつくっていらっしゃいました。

 これは松坂さんだけではありませんでしたが、ご自分のシーンでOKが出ても「もう一度いいでしょうか?」とご自身が納得のいくまで撮影をされていた姿も役者魂を感じる印象的な一場面でした。

 休憩中にはわざわざ私の隣に来てくださって「漫才の方はいかがでしょうか?」「漫才以外の部分でも率直な感想や意見をお願いします」「大阪弁のイントネーションなども稽古中、本番中でもおかしなところがあれば遠慮なく止めてご指摘ください」と仕事への真摯な取り組み方とごく自然な形で声をかけてくださる気遣いを感じ、気がつけばすっかり「松坂桃李ファン」になってしまいました。

 そして漫才指導を始めて数週間後、松坂さんが帰られる際に、出入り口とは逆の方向にいた私のところへわざわざ戻っていらして「漫才を面白くしていただいて、ありがとうございました。お先に失礼します」とまた深々と頭を下げられました。踵を返して颯爽と帰っていく姿がカッコ良く、まさにドラマのワンシーンのようで、今もその姿が目に焼き付いています。

 あの仕事への取り組み方と真摯な姿勢があればこれからもどんどん活躍の場を広げられて、日本を代表する俳優さんになっていかれることでしょう。

(本多正識/漫才作家)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください