1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

その咳は「咳止め薬」で止めることができるのか…判断が重要【高齢者の正しいクスリとの付き合い方】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月3日 9時26分

その咳は「咳止め薬」で止めることができるのか…判断が重要【高齢者の正しいクスリとの付き合い方】

市販薬を飲んでも咳が止まらない場合は早めに受診を

【高齢者の正しいクスリとの付き合い方】

 風邪などで咳(せき)が出るときに処方される咳止めは、正式には「鎮咳(ちんがい)薬」というクスリです。高齢者のほとんどの方が一度は服用したことがあるクスリではないでしょうか。今回は身近なクスリのはずなのに意外と知らない鎮咳薬についてお話しします。

 病院で処方される鎮咳薬の多くは中枢性鎮咳薬と呼ばれるもので、脳にある咳中枢というところに作用することで咳を止める効果を発揮します。中枢性鎮咳薬はさらに麻薬性のものと非麻薬性のものがあります。

 みなさんも、コデインという名前を一度は聞いたことがあるかもしれませんが、コデインは代表的な中枢性鎮咳薬になります。コデインにはいくつか規格があり、コデインの含有量が多いものは麻薬性になり、処方の際には麻薬処方箋が必要となります。麻薬性のものは単純に成分の含有量が多いため効果が高い一方、眠気や便秘などの副作用のリスクもやや高くなります。ただ、鎮咳薬は咳が落ち着くまでの比較的短期間だけ服用することが多いクスリなので、そこまで副作用を心配する必要はないかもしれません。

 なお、コデインの含有量が1%以下のものは非麻薬性(正確には家庭麻薬)で、通常の処方箋で調剤が可能です。また、非麻薬性のコデインは一般的に市販されている総合感冒薬に含まれていることもあるくらい身近なものです。

 非麻薬性のものとしてよく使われる鎮咳薬にはデキストロメトルファンやクロフェダノール、チペピジンなどがあります。鎮咳効果はコデインと同等~やや弱い一方、麻薬性のものに比べて副作用は比較的少なくなっています。そういった点を踏まえると、効果はそこそこで安全性が高めなのが中枢性非麻薬性鎮咳薬の特徴といえます。

 痰(たん)がからむ咳の場合には、鎮咳薬とともに去痰薬が処方される場合もあります。去痰薬は痰の粘度を下げてサラサラにすることで痰を切れやすくするクスリです。

 咳は日々の生活に影響する症状です。夜間の咳は睡眠不足の原因になりますし、人の多い場所だと周りの迷惑になることもあります。そのため、なんとかして咳を止めたいと思う方も多いでしょう。重要なのは、鎮咳薬で止めることができる咳なのかどうなのかを判断することです。

 たとえば、気管支ぜんそくによる咳は鎮咳薬では止めることができず、代わりに気管支拡張薬やステロイドが必要になります。特に市販の鎮咳薬(総合感冒薬を含む)を使っても咳がなかなか止まらない場合には、早めに医療機関を受診したほうがよいでしょう。また、咳の裏にはなにかの疾患が隠れていることもあるので、少しでも気になるようであれば、やはり早めの受診をお勧めします。

(東敬一朗/石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください