1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. スポーツ
  4. スポーツ総合

大号泣・阿部詩への「ウタ・ウタ大合唱」は金メダル獲得よりも価値がある…さらば、「獲得目標数」!(春日良一)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月3日 8時0分

大号泣・阿部詩への「ウタ・ウタ大合唱」は金メダル獲得よりも価値がある…さらば、「獲得目標数」!(春日良一)

選手団長を務めるJOCの尾県貢専務理事(C)日刊ゲンダイ

【7.26パリ大会開幕 徹底!実践五輪批判】#14

 パリ五輪日本選手団がメダル目標を持っていることを知っている人はどれくらいいるだろうか。 

 選手団長を務める日本オリンピック委員会(JOC)の尾県貢専務理事が大会30日前に発表していた。金メダル数の目標を20個、銀、銅を含めたメダル総数の目標を55個としている。

 なぜ、あえて選手団のメダル獲得目標を設定する必要があるのか?

 実に日本選手団が掲げるメダル目標には何の意味もない。オリンピック精神にも反するものだ。オリンピック憲章第6条は「オリンピック競技大会は個人種目または団体種目での選手間の競争であり国家間の競争ではない」と明言している。

 一人一人の選手の努力とパフォーマンスが結果としてメダルに至る。そのメダル数の集計以外の意味がない。選手の目標にもなり得ない。「金メダル20を目標に私は頑張ります」なんて言う選手がいるはずがない。

 メダル目標を団長が言わなければならない状況が、今のJOCを如実に表している。選手強化以外の目的を失っているのだ。コロナ禍で東京五輪2020の開催是非が問われた時、私は「コロナ禍でもオリンピックを開催する意義があるのか?」と世間に問うた。答えは聞こえてこなかった。少なくともJOCには開催意義を堂々と主張してほしかった。オリンピックには4年に1度の休戦思想を実現し、スポーツを通して人と人を結び世界平和の構築を目指す使命があるのだと。

 1989年、JOCが日本体育協会から独立した時、そのゴールには2本の柱があった。競技力向上とオリンピック運動普及である。後者を世間に理解してもらうには、JOC自身が日々の地道な活動のために相当な努力を強いられる。

 しかし、前者であれば容易である。選手が一生懸命努力してメダルを稼いでくれればいいのだ。オリンピックから心が離れかけている日本人に訴えるにはそれに頼るしかないと思っているのだ。

 世界のオリンピック運動の先端にいる人は違う。パリ五輪組織委会長エスタンゲは開会式の歓迎スピーチで「選手の皆さんに感謝します。オリンピックにすべての問題を解決する力がないとしても、たとえ世界中の差別や戦争がなくならないとしても、今夜、人類が一つになることがどれだけ美しいかということを再認識させてくれました」と語った。オリンピックに参加するための努力だけで十分だと言っているのだ。

 柔道女子52キロ級で金メダル確実と思われていた阿部詩選手が2回戦で敗れ、大声で泣き崩れた。永遠に泣きやむことがないと思うほどに。その姿に観客たちは「ウタ、ウタ、ウタ」と大合唱しながら手を鳴らした。それは金メダルを取るよりも価値あることではないか。さらば日本選手団のメダル獲得目標数!

(春日良一/五輪アナリスト)

  ◇  ◇  ◇

 記事本文中にも登場する阿部詩は3日の混合団体に出場予定だが、今度は納得いくパフォーマンスを発揮できるか。傷心した阿部詩を支えるキーマンは「今カレ」と「全てを知り尽くす元カレ」だろう。両者はいったいどのような人物なのか。

●関連記事【もっと読む】…では、それらについて詳しく報じている。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください