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BS松竹東急「À Table(ア・ターブル)〜ノスタルジックな休日〜」が高く評価される理由

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月4日 9時26分

BS松竹東急「À Table(ア・ターブル)〜ノスタルジックな休日〜」が高く評価される理由

市川実日子と中島歩が晩ご飯作り(C)「BS松竹東急/松竹撮影所」

 水曜夜の「À Table!(ア・ターブル)」(BS松竹東急)は、この夏、いちばんおしゃれで、おいしそうで、涼やかなドラマだ。大学職員の藤田ジュン(市川実日子)と漬物メーカーに勤めるヨシヲ(中島歩)は結婚して十数年、いまは東京・吉祥寺近くに住んでいる。

 何かが起こるわけでもない平穏・平凡な日々。2人の楽しみは、いつもとちょっと違う晩ごはんを作って食べてみることと、そのための買い物&散歩だ。

 前シリーズ「歴史のレシピを作ってたべる」では、シーザーやマリー・アントワネット、ソクラテスら歴史上の人物たちの普段の食事を、自宅のキッチンで再現して面白がった。続編の「ノスタルジックな休日」では、子どものころに家にあった懐かしい料理本をたまたま見つけ、今度はそれを作っている。「暮しの手帖」版「おそうざい十二カ月」「おそうざいふう外國料理」で、50年以上前に一流料理人たちが家庭向けに考えた手早くて安くて粋なおかずの本だ。池波正太郎や向田邦子も愛読して、夕食の参考にしたという。

 ジュンとヨシヲもむきえんどう豆の「豆ごはん」、「ねぎと青やぎのからしあえ」、イサキを使った「イタリーふう魚のあみやき」なんかを作ってみた。

 ジュン「小さいころ(えんどう豆)苦手だった」「ピーマンも、あのおいしさも、大人になってからわかったもんね。酢の物も」

 ヨシヲ「うん、わかる」

 とりとめのないおしゃべりをしながらの食事シーンが続く。 

■「本当の豊かさ」が伝わってくる

 普通ならたちまち退屈してしまうところだが、おいしそうなものが並び、市川と中島の芝居には見えない自然なやりとりに、仲のいい夫婦の家に招かれて一緒にご飯を食べているような気分になるのだ。

「とにかくプロの間で高い評価を得ているドラマです。前シリーズの『歴史のレシピ』は、テレビ番組の製作社連盟のATP賞奨励賞、同じ制作チームの別のドラマは民放連賞やギャラクシー奨励賞などに選ばれています。大げさな演技、ありえない設定で驚かすだけのドラマが多いなかで、生き方や仕事の迷いと喜びをさりげなく語らせる脚本・演出の巧みさ、映像の美しさで別格です。見ていて心地いいドラマって少ないですからねえ」(放送批評家)

 夫婦が懐かしいごはんを作るのは休日で、その前に散歩に出かける先もまた懐かしい。

 三鷹の国立天文台では、今でも太陽を観察できる大正10年に建てられた第一赤道儀室、東京タワーもエレベーターでなく階段で上ってみる。すると、見下ろす東京の景色が次第に変わっていくのを発見。阿佐谷の釣り堀では釣れない釣りを楽しむ。このドラマは「本当の豊かさって、こういう日常と時間なんじゃないの」という提案なのだ。

「放送が水曜の午後11時というのは残念ですよね。まだ週半ばで、ゆったりしたドラマを見る気分じゃないもの。録画しておいて、休みの日にのんびり視聴がおすすめです」(前出の放送批評家)

 どの料理もすぐ作れるのがいい。作りながら、つまみ食いで晩酌やったら、ゴキゲンな休日になるはず。

(コラムニスト・海原かみな)

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