半導体大手エヌビディアの株式分割はバブル崩壊の前兆ではないのか?【ベテラン証券マンが教える株のカラクリ】
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月4日 9時26分
業績好調なエヌビディアの株式分割は2021年7月以来(C)AP=共同
【ベテラン証券マンが教える株のカラクリ】#230
年初からの米株価急上昇をリードしてきた半導体大手エヌビディアが、6月10日に10対1株式分割を実施した。
エヌビディアの株式分割は1株を4株にした2021年7月以来だが、当時の200ドル前後の株価は人工知能(AI)ブームを追い風に、今年、約6倍の1200ドルに達し、時価総額で一時世界トップに躍り出たことは大きなニュースにもなった。
言うまでもなく、株式分割を行うような企業は業績が好調で、分割後も株価は上昇するのが一般的だ。バンク・オブ・アメリカは今回のエヌビディアの株式分割が契機となって米国市場での株式分割が急増すると分析している。
では、次の株式分割の候補はどこなのか。同社のリポートは、S&P500構成銘柄の中で株価が500ドル(約7万5000円)を超える36社に注目している。
ブロードコム、ネットフリックス、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ、サービスナウなどのハイテク株に加え、イーライリリー、リジェネロン・ファーマシューティカルズなどの製薬会社も含まれている。「M7」のマイクロソフトやメタも株価が500ドルに近いので、有力候補である。
こうしてみると、米国市場は絶好調なようだが、そこにワナはないのか。
実は、米国市場での株式分割は1990年代後半から2000年代初めに頻繁に実施され、年間で100社近い年もあった。そして、その株式分割ブームの後に起きたのが、ITバブルの崩壊だった。
今回のエヌビディアに代表される株価の急騰や株式分割ブーム。見方を変えれば、株価が高騰しすぎ、膨らみすぎた結果としての株式分割とも受けとれるのだ。
過去にも経験した危ない兆しなのではないのか。米国市場の危険要因は日本市場への悪影響も計り知れないだけに、投資家はこの点を心に留めておく必要があるだろう。 (丸)
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