コロナ後遺症が変異株で変化の兆し? オミクロン流行時ではデルタ流行時より減少傾向に
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月4日 9時26分
オミクロン株(国立感染症研究所提供)
【役に立つオモシロ医学論文】
新型コロナウイルス感染症の症状は、2~4日で回復することが一般的です。しかし、倦怠感や関節痛、頭痛などの症状が2カ月以上にわたって続くこともあり、このような症状を罹患後症状(コロナ後遺症)と呼びます。
2019年に発生した新型コロナウイルスは、しばしばウイルス遺伝子を変異させました。21年9月に流行したデルタ変異株は、その重症化リスクが高いことで注目を集めました。22年から現在にかけては、オミクロン変異株の系統が主流株となっています。
そのような中、新型コロナウイルスの変異と、罹患後症状の重症度を比較した研究論文が、世界的にも有名な医学誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」の電子版に7月17日付で公開されました。
米国の医療データベースを解析したこの研究では、20年3月1日~22年1月31日の間に新型コロナウイルスに感染した約44万人と、同ウイルスに感染していない約475万人が対象となりました。ウイルス株をデルタ前、デルタ流行時、オミクロン流行時に分け、罹患後症状の発症率やワクチン接種との関連性が検討されました。
その結果、ワクチンを接種していない人における罹患後症状の発症率(100人当たりの発症件数)は、デルタ前で10.42件、デルタ流行時で9.51件、オミクロン流行時で7.76件と、一貫して減少していました。また、ワクチンを接種している人では、ワクチンを接種していない人と比べて、デルタ流行時で44%、オミクロン流行時では55%、統計学的にも有意に発症率が低下しました。
論文著者らは「罹患後症状はウイルス変異とともに減少したが、オミクロン流行時にワクチン接種をした人でも、その発症率は依然として高い」と結論しています。
(青島周一/勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰)
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