米国に準々決勝敗退でメダルなしも、なでしこに光明を見た。決して悲観することはない。(鈴木良平)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月5日 7時53分
延長戦の末、米国に敗れ熊谷をねぎらう谷川(右)(C)共同通信社
【鈴木良平の「クールアイ」】
サッカー女子日本代表(なでしこジャパン)が3日、パリ五輪準々決勝で強豪米国に敗戦。延長の末、0ー1で力尽き「2011年W杯以来の世界女王」と「五輪初の金メダル」を目指した戦いが終わりを告げた。
シュート数は米国の15本に対して12本。「勝てるチャンスもあった」という声も少なくないようだが、なでしこにはゴールの匂いが漂ってくるシーンはなかった。
ボール支配率「米国71%・日本29%」からも分かるように個人能力のレベル差、チームの総合力の差を比較した場合、米国の勝利は妥当だったと言うしかない。
ただしーー。なでしこたちは、決して悲観することはない。2027年W杯ブラジルW杯、2028年ロス五輪に向けて光明を見出すことができたからだ。
今回の五輪メンバーには18~20歳の選手が4人入った。18歳のDF古賀塔子(フェイエノールト)、19歳のMF谷川萌々子(ローゼンゴード)、20歳のFW藤野あおば(2日にマンチェスターC完全移籍が発表)と浜野まいか(チェルシー)は、いずれも「取り敢えず世界の大舞台を経験させておくか」というような考えで招集された選手ではない。
DF古賀は、大会を通じて主力の一人としてプレー。米国戦は3バックの右で先発起用されて前後半の計90分、体を張って奮闘した。
攻撃系選手ではFW藤野が一次リーグ初戦のスペイン戦で見事な先制FK弾を叩き込み、2戦目のブラジル戦ではMF谷川が決勝点となるロングシュートを決めた。3戦目のナイジェリア戦ではMF浜野がクロスに合わせて先制ゴール。3-1の勝利に貢献した。
日本の女子サッカーは「長短のパスを繋ぎながら試合の流れを握る」のがストロングポイントではあるが、パス回しに汲々とするあまり、自ら仕掛けていく積極性に欠けるきらいがあった。
しかし、若き3人のアタッカー陣に共通するのは「自らドリブル突破して果敢にシュートを放ってゴールを決める」ことが、しっかりと身についている点である。まだまだ伸びしろもあり、これからの女子サッカーを牽引してくれるだろう。
代表チームには「世代交代」をスムーズに進めつつ、レベルアップを図っていくことが求められる。常に若手がいることで中堅、ベテランたちは良い刺激を受け、健全な競争原理が生まれる。
なでしこジャパンの今後に期待したい。
(鈴木良平/サッカー解説者)
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