オンライン服薬指導の注意点…対面でなければわからないことがある【クスリ社会を正しく暮らす】
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月7日 9時26分
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【クスリ社会を正しく暮らす】
先週まではオンライン診療・服薬指導のメリットばかりお話ししましたが、もちろん注意点もあります。
最も気を付けるべき点は、「医療従事者が実際に患者さんに触れることができない」ことではないでしょうか。診療では、触診や聴診など実際に触れてみなければわからないこともあります。また、採血なども対面でなければできません。
以前に問題となった「診察なしでお薬だけもらう」といった問題にも類似しています。薬剤師としても、副作用に注意が必要な薬、たとえば抗てんかん薬や気管支拡張剤、抗不整脈薬などの一部では副作用のモニタリングのためにも定期的に薬物血中濃度を測定することが欠かせません。つい最近も、抗てんかん薬を増量してからしばらくたった後に中毒症状を訴えられた患者さんを見かけたばかりです。
ほかにも、アンジオテンシン受容体拮抗薬と呼ばれる高血圧の治療薬では徐々にカリウム値が上昇していったり、よく使われる酸化マグネシウムなどの下剤でも血中のマグネシウム値が高くなりすぎてしまうといった副作用を目にすることがあります。オンラインがいくら便利だからといっても、やはり定期的に対面診療を受けることも必要でしょう。
また、感染症に対する抗生物質、発熱に対する解熱薬、痛みに対する鎮痛薬といった緊急性の高い薬は、オンラインでは薬を受け取るまでにタイムラグが生じてしまうので、オンラインには不向きといえます。
たしかにオンライン診療・服薬指導は便利で、これから一気に広がる可能性を秘めています。しかし、どんな注意点があるのかについてもしっかり理解し、活用していくことが大切ではないでしょうか。
(荒川隆之/薬剤師)
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