レスリング文田健一郎 五輪金でも「悔しい」の理由
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月7日 11時47分
金メダルにキスをする文田健一郎(C)共同通信社
【レスリング】男子グレコローマンスタイル60キロ級
グレコローマン(GR)スタイル60キロ級の文田健一郎(28)が7日未明の決勝で、曹利国(25=中国)を下し、金メダルを獲得。日本勢が同スタイルで頂点に立つのは52キロ級の宮原厚次が1984年ロサンゼルス大会を制して以来、40年ぶりの快挙だ。
文田は23年世界選手権(セルビア)の準々決勝で破った相手に対し、第1ピリオドで回転させるなどして3点を先取。第2ピリオドで1点を奪われたが、逃げ切って表彰台の真ん中に立った。
銀メダルに終わった東京大会の雪辱を果たし、「悔しい思いをした3年前の決勝を思い出します。40年ぶりの金はすごいことというより、(日本勢が)40年間勝てなかったのは悔しい。このまま2歩、3歩と進んでいけるようにしたい」とGRのさらなる躍進を誓った。
文田が言うように、日本のレスリングはフリースタイルが主流で、男子のみのグレコローマンはオマケのような扱いだ。小学生の「ちびっこレスリング」で最初に教えられるのはフリースタイルで、レスリングの強豪高校、大学ですら、GRを本気で強化するケースは少ない。世界選手権も含めた国際大会で結果を残すのは、フリーの選手が圧倒的に多いのは当然のことなのだ。
下半身へのタックルや動きがスピーディーなフリースタイルとは異なり、組み合ってから技をかけ合うGRは派手さに欠ける。注目度も低いことから、GRを選ぶ中高生は少ないのが現状だという。
日本協会では、かねてからGRのジュニアレベルの強化を課題としてきた。近年は才能あるジュニア選手を育成するエリートアカデミーでGRの底上げに励んでいる。
この日はGR77キロ級の日下尚(23)が決勝進出を果たし、銀メダル以上が確定した。同67キロ級の曽我部京太郎(23)も含めて、ロサンゼルス大会以来、3個のメダル獲得となれば「じゃない方」を返上できる。
また、敗者復活戦を勝ち上がった女子68キロ級の尾崎野乃香(21)は3位決定戦でブレッシング・オボルドゥドゥ(35=ナイジェリア)を下し、銅メダルを獲得した。
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