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北越コーポレーション株の取得をめぐるバトルの根底は大王製紙創業一族の抗争にあった(有森隆)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月8日 9時26分

北越コーポレーション株の取得をめぐるバトルの根底は大王製紙創業一族の抗争にあった(有森隆)

大王製紙“中興の祖”と呼ばれる井川高雄氏(C)日刊ゲンダイ

【企業深層研究】北越コーポレーション(下)

 大王製紙の創業家一族が設立した大王海運が北越コーポの株式を大量に取得する狙いについて、北越コーポ側は次のように断じる。

〈大王海運は実質的オーナーの井川俊高が北越コーポが保有する大王製紙株を手に入れ、再び大王製紙を支配しようとする試みの先兵である〉

 大王製紙の大株主構成(2024年3月期時点)は、北越コーポが24.61%で筆頭株主。2位株主は信託口で、大王海運は5.62%を保有する3位の株主だ。同社のオーナー井川俊高は、北越コーポが持つ大王製紙株を手に入れ、悲願としてきた大王製紙のオーナーになることを狙っているというのだ。

 そこには創業家一族の血の抗争が横たわっている。

 一族間のバトルの発端は、11年に発覚した大王の創業家本家の3代目・井川意高元会長が起こしたカジノでのバカラ賭博事件だ。総額106億円を使い込んだ。

 この事件後、社長になった佐光正義ら経営陣は脱・創業家に踏み切る。創業家(本家)と経営陣の仲介の労をとったのが北越紀州製紙(現・北越コーポレーション)の岸本社長だった。〈06年、王子製紙のTOBの際に安定株主となってくれた大王製紙に恩義を感じている〉と語っていた。大王がホワイトナイトとして救いの手を差し伸べた。

 大王と北越が株式を持ち合い、反王子の立場で支援した。

 その縁で12年、北越は創業家が保有する大王株を取得し、筆頭株主になった。創業家(本家)のもつ大王関連会社の株式を北越が買い取り同値で大王製紙に転売、大王製紙本体の株式は北越が所有、持ち分適用関連会社とした。しかし、経営方針の対立が明らかになり、大王、北越両社の関係は悪化の一途をたどる。

父が残したメモで復讐を決意

 創業家(本家)は、株式の売却代金(100億円)を原資に大王の子会社からの借金とカジノの未清算金の弁済を行った。大王の“中興の祖”と呼ばれた井川高雄は不肖の息子・意高がつくった莫大な借金をすべて返済し、尻拭いをした。その結果、創業家(本家)が3代にわたり君臨してきた大王の支配権を失った。

 会社法違反(特別背任)の罪に問われた意高は13年6月、懲役4年の実刑判決が確定し、4年近く服役した。刑期満了で実家に戻った意高は、19年9月父の死に遭遇する。

 父の死後、書斎から走り書きが見つかった。井川家を大王製紙から排除した佐光について、父は次のようなメモを残した。

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