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陽子線治療は予後不良の進行肺がん、膵がんの救世主になるか

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月8日 9時26分

陽子線治療は予後不良の進行肺がん、膵がんの救世主になるか

(提供写真)

 進化した放射線治療、陽子線治療。従来のX線治療と比較して、陽子線はがんをピンポイントで集中攻撃ができ、正常組織へのダメージをかなり抑えられる。

「局所治療なので、血液がんや広範囲にがんが散らばっている場合などは適応外。基本的には、X線治療の対象となるものは全て陽子線で治療できます。ただし、がんの種類、ステージによって保険適用か、先進医療対象か、または自由診療かに分かれます」(中部国際医療センター陽子線がん治療センター施設長・不破信和医師=以下同)

 日本では前立腺がんが保険適用のため、陽子線治療の件数の半分を占めている。しかし手術可能な場合、手術、X線(最新のIMRT)、陽子線と治療成績は変わらず、ステージⅠ~Ⅲでは5年生存率100%。晩期障害(治療後しばらく経ってからの健康障害)の血尿リスクが減少したり、X線より放射線発がん率(放射線によるがん発症のリスク)が下がるとの報告があり、陽子線ならではのメリットもあるが、「陽子線でなければ」とまでは言えないかもしれない。それに対し、「これこそ陽子線」というがんがある。例えば進行肺がんだ。今年6月から早期で切除不能のものは保険適用となったが、進行肺がんは先進医療対象。

「肺がんは発見された段階で手術不可の進行がんが大半。薬物の進歩をもってしても予後が厳しい。そういった患者さんが陽子線で予後良好となるケースが少なくない」

 進行がんで発見され治療法が限られているという意味では、食道がんや膵がんも該当する。膵がんでは温熱療法(体内のがん組織の温度を上昇させる)や高気圧酸素療法(がん内の低酸素状態を改善しがんの増殖を抑制する)との組み合わせで治療成績が上がることが期待されている。手術が可能でも術後QOLが著しく障害される場合は、陽子線が治療選択肢に入ることもある。

「頭頚部がんでは、浅側頭動脈からがんの栄養血管にカテーテルを挿入し抗がん剤を直接投与する動注療法と陽子線の併用で、100%近い制御率を目指しています」

「これこそ陽子線」というがんには、保険適用でなくても先進医療対象のものがいくつかある。陽子線治療の自己負担額は350万円。自由診療となると全額自己負担だが、先進医療対象であれば、民間のがん保険に入っている場合、先進医療特約でカバーできることを押さえておきたい。 (つづく)

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