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植田日銀はハト派→タカ派→再びハト派へとコロコロ…「対話の失敗」が招いた為替と株の乱高下

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月8日 10時52分

植田日銀はハト派→タカ派→再びハト派へとコロコロ…「対話の失敗」が招いた為替と株の乱高下

円相場も株価も「内田発言」に反応(内田真一日銀副総裁)/(C)共同通信社

「市場が不安定な状況で利上げをすることはない」──。日銀の内田真一副総裁が7日、北海道函館市の講演で追加利上げに慎重な姿勢を見せた。この発言を受け、円相場は一時1ドル=147円台半ばまで下落。7日の朝方は144円台だったので、内田発言で売りが進んだ形だ。

 株価も内田発言に敏感に反応。過度な利上げ観測が後退したことで市場に安心感が広がった結果、買い戻しの動きが強まり、日経平均は一時1100円以上も値上がりした。

 株も為替も乱高下を繰り返しているが、その要因は日銀の植田総裁にあるのではないか。市場とのコミュニケーションの問題だ。それは、今回だけじゃない。

 マイナス金利を解除して17年ぶりの利上げに踏み切った3月の金融政策決定会合後、植田は「今後も緩和的な金融環境が続く」と強調。「追加利上げはしばらくない」との安心感が市場に広がった。

 その後、約34年ぶりとなる1ドル=156円台にまで円安が進む中、4月会合後の会見で「足元の基調的な物価上昇率への大きな影響はない」と強弁。

「今の物価高は無視できる範囲にあるのか」と念押しする記者に、あっさり「はい」と言い放った。

 円安への対処を渋る姿勢はハト派の印象を市場に与え、あれよあれよと円売りは進行。7月前半に1ドル=161円を突破した。

 円安放置の姿勢が一転、7月会合で0.25%程度への追加利上げを決定。過去30年超えたことがない「金利0.5%」について、「壁として意識していない」とタカ派的な発言を繰り出した。

 その修正を図ったのが、きのうの内田発言だ。

 3月から「ハト→タカ→ハト」と変遷してきた植田日銀こそが、市場の乱高下を招いてきたのである。金融ジャーナリストの森岡英樹氏がこう言う。

「歴史的な円安・物価高を背景に、自民党幹部や現役閣僚から早期の追加利上げを求める声が出ていました。日銀の独立性を確保しなければならないのは当然ですが、元学者らしい植田さんの定量的なアプローチが政治や市場との対話を欠いているのも事実。コミュニケーションの失敗が、為替を通じた株下落につながったと思います。大きな政策転換に伴って荒い値動きになるのは仕方ない部分があるにせよ、新NISAなどの新しいファクターがある中でうまく舵取りしてもらわなければ困ります」

「貯蓄から投資」を呼びかける政府を信じ、日銀にマーケットをかき乱されてはたまったもんじゃない。

  ◇  ◇  ◇

 世界同時株安により、24兆円近くもの年金財源があっさり溶けて消えました。わずか1カ月余りに昨年度1年間の運用益の半分以上を吐き出したことに……。

 ●関連記事【もっと読む】では、「年金積立金管理運用独立行政法人」(GPIF)について詳しく報じている。

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