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小休止を挟むと記憶が定着しやすくなる…海馬に良い変化を与える【科学が証明!ストレス解消法】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月9日 9時26分

小休止を挟むと記憶が定着しやすくなる…海馬に良い変化を与える【科学が証明!ストレス解消法】

写真はイメージ

【科学が証明!ストレス解消法】#177

 トイレに行くと、突然アイデアが降ってきた--。以前、このコラムで、「ボーっとすると脳は平常時の15~20倍のエネルギーを使うため、アイデアも湧きやすくなる」という研究を紹介しました。

 何か行動をしているときと、ボーっとしているときの脳の動きを比較したところ、後者の方が記憶に関する部位や価値判断に関する部位が活発に働いていたことが明らかになったといいます。

 最近はこういった研究が増えていて、ドイツのマックス・プランク研究所のシャックと、プリンストン大学のニブが共同で行った実験(2019年)でも、小休止を入れることが記憶や判断力をつかさどる脳の部位「海馬」に良い変化を与えることを証明しています。

 実験では被験者に、顔と家を重ね合わせた画像を見せました。そして、その画像が若い・新しい(ヤング)か、若くない・古い(オールド)かを判断してもらい、40分間続けました。テストの前後には、5分間の休憩を設けたといいます。

 このテストは、ヤングとオールドという判断を、「顔を見て決める」のか「家を見て決める」のか--、人の脳がどのように画像を認識し、海馬を働かせるのかを調べるものでした。

 例えば、最初に顔を見てオールドと判断した場合、次も顔を見せて判断をあおぐ。次の画像をヤングだと判断した場合には、その次の画像はあえて家を見せて、ヤングかオールドを判断するという具合です。記憶や判断力をつかさどる海馬を、意図的に働かせる状況をつくり出しているというわけです。

 その上で、シャックとニブは、1~4日後に同じ内容の実験を行い、脳内で何が起こっているのかを観察。導き出されたことは、被験者たちはテスト後の5分間の休憩で、直前に見たものを海馬で自動的に再生(リプレー)していることでした。つまり、休むことによって、脳(海馬)は起きた出来事を自動的に処理しているということ。いわば、自動復習機能のようなことを、脳は行っているというのです。

 この結果から考えると、直前に行っていたことを、脳が自動復習するわけですから、勉強や仕事でも小休止を挟んだ方が定着しやすくなり、情報処理が効率的になると推測できます。実際に、記憶の研究でも「分散効果」という理論があり、何かを勉強するときは連続で覚え続けるよりも、勉強してからある程度時間を置いてから復習をした方が、効率が良いと明らかになっています。

 そして、小休止するときのポイントは、冒頭で記したようになるべく考え事をしないでボーっとすることです。仕事のことを考えたり、ゲームをしたり、SNSをチェックしたりするのではなく、意識を働かせずリラックスする。

 ゆっくりお茶やコーヒーを入れるとき、人間はあまり小難しいことを考えないと思います。無意識、またはボーっとできるようなアクションを取り入れるようにしてください。勉強や仕事をするときは、小休止を挟んでボーっとするのがおすすめですよ。

(堀田秀吾/明治大学教授、言語学者)

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