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濱田岳「わろてんか」最終収録のリハーサル後に涙の訴え…仕事への熱意と凄みを見せつけられた(本多正識)

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月10日 9時26分

濱田岳「わろてんか」最終収録のリハーサル後に涙の訴え…仕事への熱意と凄みを見せつけられた(本多正識)

濱田岳(C)日刊ゲンダイ

【お笑い界 偉人・奇人・変人伝】#204

 濱田岳の巻

  ◇  ◇  ◇

 濱田さんと初めてお会いしたのは、NHK連続テレビ小説「わろてんか」の漫才指導の時でした。子役時代からキャラクターの違う役を見事に演じ分けていらっしゃったので、間近で濱田さんを見られるのが楽しみでした。

 濱田さんと直接関わることはありませんでしたが、収録の合間に「お疲れさまです。漫才って難しいですね! 何本ぐらい(漫才を)お書きになってるんですか?」と気さくに声をかけてくださり、笑顔を絶やさず、ファミリーとして温かく迎えていただきました。

 そんな濱田さんも本番収録前になると顔つきが変わり、役柄に入り込んでいるのが周りから見ていてもわかるほど、集中していらしたのが印象的でした。収録も監督からOKが出ても納得のいくまでテイクを重ねておられました。

 その熱意を見せつけられたのが、最後の収録でした。舞台だけが残った戦後の焼け野原で、青空の下、喜劇を演じるというシーンで、私が脚本・演出を担当したのですが、入念なリハーサルが終わり、楽屋ロビーのソファに座っていると、ほんの数メートル先を濱田さんが意を決したような表情で通り、チーフプロデューサーに「すいません。ちょっとよろしいでしょうか?」と頭を下げられました。

「リハーサル中に現場を離れられましたが、どうされたんでしょうか?」

「会議が入っておりました」

「最終回の大事な場面よりも優先しないといけない大切な会議が存在するんでしょうか?」

 と、濱田さんのド正論の問いかけに、

「そういう予定になっておりました」

「どうして予定を変えられなかったのでしょうか? これまで全てのリハーサルをチェックされておられたのに、最後のリハーサルを抜けられたのが僕にはわかりません。大変残念です」

 と涙を流されました。

「配慮を欠くことになり誠に申し訳ありませんでした」

 とのおわびの言葉に、

「僕たちは命がけでやっています。どうしてもお伝えしたかったもので、お時間をとらせて申し訳ありませんでした。本番よろしくお願いいたします」

 と再び頭を下げ、控室へ戻って行かれました。

 声も言葉も荒らげることもなく、理路整然と話された濱田さんの仕事にかける“熱い熱い思い”と“凄み”を間近で見せていただき、身が引き締まりました。松坂桃李さんたちも「それでだ! 途中から岳さんの雰囲気が変わったんで、何があったんだろう? って気になってたんですよ」「すごいな岳さんは!」と感嘆の声しきり。

 まるでドラマのワンシーンを見るような緊迫の数分間に「仕事に取り組む姿勢はかくありなん」と勉強させていただきました。これからのご活躍を期待してやみません。

(本多正識/漫才作家)

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