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認知症患者の行方不明対策におすすめのグッズやサービスは?【介護の不安は解消できる】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月12日 9時26分

認知症患者の行方不明対策におすすめのグッズやサービスは?【介護の不安は解消できる】

写真はイメージ

【介護の不安は解消できる】

 今年7月、警察庁は昨年1年間に報告された認知症やその疑いがある人の行方不明件数は1万9039人で過去最多を記録し、そのうち502人は遺体で発見されたと公表しました。

 認知症の方は、ただ外に出たいからではなく、散歩や買い物、あるいは昔の記憶が蘇り出勤しようとするなど、何かしらの目的があって行動しています。ただ、アルツハイマー型認知症の場合、熟知しているはずの場所であっても初めて訪れた感覚になる「街並失認」が起こりやすい。自分がいる場所がどこなのか分からずパニックになると、不安や焦りから自宅に引き返そうと歩き続け、行方が分からなくなるのです。

 早期に見つけるためにも、ご家族は事前に対策を講じる必要があります。

 最も有効なのが、GPSです。人工衛星の発する電波を利用し位置を測定するシステムで、関東平野部であれば30メートル以内の誤差で位置情報を特定できます。スマートフォンを使用されている方であれば、事前に家族が本人のスマホにGPS機能付きアプリをインストールしておくと、アプリからいつでも居場所を把握できるのでおすすめです。普段外出する際に必ず身につけるかばんや帽子、靴がある人であれば、小型のGPSを入れたり縫い付けておくといいでしょう。

 アルツハイマー型認知症と診断された70代前半の男性は、半年前から徘徊の頻度が多くなったため靴の中にGPSを入れておき、その1足だけを玄関先に出しておいたそうです。ある日、妻が帰宅するといないことに気付き、スマホで居場所を確認。30メートルの誤差で見落とさないよう息子2人と一緒に本人を周囲から挟み込むように接近して、無事、保護されたといいます。

 ほかにも、近年、認知症の行方不明者を早期に発見できるサービスとして広まりつつあるのが「どこシル伝言板」です。事前にQRコードが付いた耐洗シールや蓄光ラベルを衣服やかばんに付けておき、見かけた人がスマホで読み取ると、家族に発見場所と本人の健康状態が自動メールで送信される仕組みです。また発見者は、家族が迎えに来るまで専用の伝言板で家族と連絡を取ることができます。連絡は伝言板を通じて行われるので、両者共に個人情報は表示されません。現在、全国329の市区町村で導入されているので、お住まいの自治体に問い合わせてみるといいでしょう。

 私が診ていた患者さんのうち、2人は行方不明になった後に遺体で発見されています。通常、徘徊の症状は半年前後で落ち着くといわれていますが、万が一に備え、事前に対策しておくことが大切です。

▽朝田隆(あさだ・たかし)1982年東京医科歯科大学医学部卒業、83年同大精神科、95年国立精神・神経センター武蔵病院、2001年筑波大学精神医学教授を経て、15年からメモリークリニックお茶の水院長、筑波大名誉教授、東京医科歯科大学特任教授を務める。

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