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角川博さんは五木ひろし「旅鴉」で“こぶし”を学び、演歌の世界で生きていくと決めた【私の人生を変えた一曲】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月13日 9時26分

 75年に上京し、半年くらいレッスンをして4月にデビューしました。ここまでは順調です。ところが、そこからがね……(笑)。

 僕はてっきり秀樹さんのような曲、ポップスを歌うつもりでいました。ところが、もらったのは演歌。事務所が決めた曲です。それでも、その当時のことだから、「デビューできただけでもありがたいと思え」という雰囲気で、従うしかない。みんな詐欺師かと思いましたね(笑)。

持ってくる新曲がこぶし回しの曲ばかりなので…

 それから、持ってくる曲持ってくる曲がこぶし回しの曲ばかり。僕は演歌を歌うつもりがないし、こぶしも回せない。それなのに、なんで? 考えて考えて、そうか、こぶしを回せってことかとさすがにわかるわけです。この世界に入ったからには歌うしかない。仕事と思ってこぶしを回すように頑張ろう、向上心を持ってやってみようと決めました。

 その時に、これはと思ったのが五木さんの「旅鴉」(72年)でした。五木さんの曲にはあまりこぶしが入らないのもある。そんな中で、「旅鴉」ほどコロンコロンこぶしを回している曲はなかった。作家の長谷川伸の旅鴉シリーズ作品の主題歌になった曲です。いわゆる股旅物。出だしの「百里千里を」のこぶし回しに始まり、要所、要所にこぶしが入る。
 五木さんはひゃく~りい、せん~りいと上に突き上げるような歌い方をします。その部分は民謡を聴いて、こぶしを上下に回すのを参考にしました。こぶしには浪曲のように左右に振るというか回すのもあるし、都々逸、さのさなんかのこぶしもあるから。歌いながら、五木さんならここに入れるだろうけど、僕はここに入れるという、いわば角川節をめざしました。それから僕の歌は変わったと思います。

 ただ、こぶしについては僕なりに考えてもみました。テクニックとしては難しいけど、ある意味、都合がいい、ビジネス的という気がしなくもない。こぶしを入れないと味気ないかもしれないけど、入れないで聴かせるのもひとつの歌い方。歌はいろんな歌い方があっていいと思っています。

 新曲「恋泣きすずめ」を出しました。たまたまだけど、すずめと鴉の話になってしまいましたね(笑)。 

(聞き手=峯田淳/日刊ゲンダイ)

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