世界同時株安の影響を受ける球団、受けない球団…長期化やさらなる下落が進めばどうなる?【メジャーリーグ通信】
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月14日 9時26分
ブレーブスの選手たち(C)ロイター/USA TODAY Sports
【メジャーリーグ通信】
8月5日の東京株式市場に始まる世界同時株安の様相を受け、ニューヨーク市場のダウ平均株価も記録的な乱高下の続く相場となっている。
一時の株価の急騰や急落は市場の通常の動きの範囲内であり、長期的に見れば株価は上昇基調にある。ただ、短期的には株価の下落により資金調達が困難になったり企業の信用度が低下したりすることになる。
現在の大リーグで唯一株式を公開しているのは、ブレーブスである。ブレーブスは球団を所有し、球場や関連施設の開発や運営を行っているアトランタ・ブレーブス・ホールディングス(BATRK)をナスダックに上場させている。
BATRKも今回の世界同時株安を受けて株価が下落し、その後は上下を繰り返している。
年俸総額が大リーグ30球団の中で上位10球団以内に入っており、球団も2018年から23年までナショナル・リーグ東地区1位、本拠地トゥルーイスト・パークも過去2シーズン連続で300万人を超える来場者を記録するのがブレーブスである。
そのため、株式を公開することで経営資金の調達を多様化し、球団経営と本拠地周辺の再開発を積極的に進めているのが現状である。
もし、今回の株安が短期間で収束すれば、経営面での影響は軽微にとどまる。
しかし、株安の長期化やさらなる株価の下落が進めばどうなるか。
BATRKにとって事業の中核であるブレーブスの運営、とりわけ選手年俸の支払いは何よりも優先される。従って、再開発事業の延期や縮小などは避けて通れない。さらには、高額な契約の選手を放出することで支出を大幅に削減し、経営を安定化させることも選択肢に入る。
そして、それでも状況が改善しなければ、さらなる事業の縮小や経営陣の交代を経て、最終的には球団の売却ということになる。
この他にも、ブルージェイズの親会社であるロジャース・コミュニケーションズがニューヨーク証券取引所に上場しており、今回の株安を受けて株価を下げている。
こうした様子を見て、球団や親会社が株式を公開していない経営者たちは、少なくとも今回の世界同時株安の直接の被害を被っていないことに安堵しつつ、重要な資金源であるスポンサー企業や提携企業が大きな打撃を受けていないことを願っているのである。
(鈴村裕輔/野球文化学会会長・名城大准教授)
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