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41歳の息子を看取る覚悟を決めた母親「本人は受け入れているみたい」【老親・家族 在宅での看取り方】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月14日 9時26分

41歳の息子を看取る覚悟を決めた母親「本人は受け入れているみたい」【老親・家族 在宅での看取り方】

ご家族の気持ちの整理をご一緒にさせていただくことも大切な務め(C)日刊ゲンダイ

【老親・家族 在宅での看取り方】#106

 肝硬変を患う41歳男性の患者さんが、両親が住むご実家で先日から在宅医療を開始されています。

 肝硬変の原因はさまざまです。日本で多いのはB型肝炎ウイルス・C型肝炎ウイルスが原因のもので、特にC型肝炎ウイルスによる肝硬変は、全体の6割を占めています。

 この患者さんの場合はアルコール過多の状態が長く続いたことが原因。肝硬変には症状がほぼない「代償性肝硬変」と、肝機能がかなり落ちて重い症状が出ている「非代償性肝硬変」がありますが、すでに後者の「非代償性」の域に達していました。

 脳細胞の代謝や中枢神経系の機能も低下し、肝性脳症によるてんかん発作を発症。発作後の意識障害で長期間の入院生活を経て、ご実家に帰ってこられたのでした。

 これまでずっと病院のベッドに寝ていたため、患者さんの筋力は著しく低下し、車いすで全介助が必要な状態。

「ご家族としては覚悟されていますか?」(私)

「入院した時は意識不明でもうダメかなと。毎日家族で話してます」(母親)

「次のけいれんがあった時は致命率も高いです。肝機能的に予後も年内と言われていると思いますが、在宅でできることをやりたいと思いますし、いざとなったら病院にも行けますので」(私)

「本人は受け入れているみたい」(母親)

 気丈にも我が息子の、いざという時を覚悟されているお母さまの気持ちを思うと、私たちもいたたまれなくなります。

「家で最期か病院へ運ぶこともどちらの判断をされても。緩やかにおうちで見たいということで、最終的には相談して対応するということでよろしいですかね。あらかじめまとまって話がついて覚悟を決めてるか決めてないかで違いますので」(私)

「お互いに受け入れるしかないよねって」(母親)

「その時の状況がどんな形かにもよるんですが、静かな環境じゃないし、ご家族がそばにいないんで、病院よりはご家族が声をかけてくれる環境の方がいいとは思います」(私)

「兄弟は仲が良いので」(母親)

 正解のない決断をしていただくことは、在宅医療を始められたご家族に課せられたある意味、過酷な務めともいえるものかもしれません。

「生命の質ですね。肉体の方じゃなくて。おうちで過ごされるのがいいかもしれませんね。皆さんで覚悟を決められてるなら問題ないと思います」(私)

「最初の頃よりいいんですよね」(母親)

「なんとか落ち着いて最期まで家で過ごせれば。穏やかな状態でできるだけ過ごせるようにしていきたいと思います」(私)

「わからないことばっかりで」(母親)

「また看護師さんの方でもいいですし、こちらでもいいので相談してください」(私)

 高齢の家族を看取ることが多い訪問診療ですが、時には逆の場合もあります。非常時の対応や、高齢なご家族の覚悟をうかがいながら、気持ちの整理をご一緒にさせていただくことも大切な務めとなってくるのです。

(下山祐人/あけぼの診療所院長)

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