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義足はどういった流れで作られているのか…まずは断端管理【日本版「足病医」が足のトラブル解決】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月15日 9時26分

義足はどういった流れで作られているのか…まずは断端管理【日本版「足病医」が足のトラブル解決】

まずは平行棒の中で立つ練習から

【日本版「足病医」が足のトラブル解決】#31

 義足には、切断して残された足の部分(断端)を収納する「ソケット」と呼ばれる筒状の部品があります。主に熱硬化性樹脂で作られ、おのおのの断端に合うようオーダーメードで作ります。しかし、足を切断した直後は断端がパンパンに腫れて硬くなり、断端は球根のようないびつな形になりやすい。その状態のままソケットの型取りを行うと、腫れが引いた後に断端の太さとソケットの幅が合わなくなり、装着しても緩くしっかりと足にはまりません。

 断端の形を整えるためにも、最初に行うのが「断端管理」です。断端を弾性包帯で締め付けて、足の形を先細の円柱状にする方法で、医療の現場においては「ソフトドレッシング」と呼ばれています。包帯を足の先端に向かってしっかりと巻くと、約2~3週間後にはむくみが取れ、硬かった断端はマシュマロのような柔らかさになります。足の形状が安定したら、義肢装具士が断端の周りにギプスを巻き足の型を取り、取り除いたギプスの中に石膏を流し込み足のモデルを作ります。硬化したらそのモデルの上に熱した飴状の樹脂をかぶせ、患者さんの断端にピッタリはまるソケットが作られているのです。採型から早くて1カ月で完成します。

 ただ、切断手術後に長い間ベッド上で過ごしたり、車椅子に乗り生活していると関節が固くなる「関節拘縮」を引き起こしやすくなります。拘縮は切断した場所に近い関節で生じやすく、関節の可動域が狭くなると義足を装着してもスムーズに動かせず、自然な歩行ができません。理学療法士による指導の下、関節を伸ばすストレッチや膝や腰などの筋力強化を行い、義足での歩行に備えておく必要があるのです。

 ソケットが手元に届いたら、実際に義足を履いて歩く「義足歩行訓練」を開始します。まずは平行棒の中で立つ練習から始め、平行棒内を歩き、歩行が安定したら杖をついて歩くなど、徐々にリハビリのステージが変わっていきます。体の状況や義足歩行訓練の頻度にもよりますが、杖をついての歩行は下腿義足であれば1カ月、大腿義足や股義足であれば3カ月で歩けるようになると言われています。

▽寺門厚彦(てらかど・あつひこ) 1995年聖マリアンナ医科大学卒業。2005年順天堂大学リハビリテーション医学助教を務め、06年公益財団法人鉄道弘済会義肢装具サポートセンター付属診療所嘱託医。19年順天堂大学足の疾患センター装具外来を担当。

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