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夏季五輪からマラソン消滅危機…世界陸連コー会長がIOC会長選へ出馬意欲、“大改革”に現実味【スポーツ時々放談】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月17日 9時26分

夏季五輪からマラソン消滅危機…世界陸連コー会長がIOC会長選へ出馬意欲、“大改革”に現実味【スポーツ時々放談】

パリ五輪女子マラソン6位入賞の鈴木優花(C)J MPA

【スポーツ時々放談】

 パリオリンピックは無事に幕を下ろした。

 “近代五輪発想の地”らしく独創的で、多様性の時代を象徴した大会として語り継がれるだろう。マラソンの変化が興味深い。

 6位に入った鈴木優花は、夏は花火・冬は大雪の秋田県大仙市出身。所属する第一生命のグラウンドに雪が積もった今年2月、雪かきができたのは鳥取出身の山下佐知子監督(当時)と鈴木だけだったそうだ。赤崎暁の6位とともにアフリカ勢をかき分けた入賞は立派だ。

 マラソン運営は管理が難しく、ロンドン大会から周回コースが採用されてきた。

 今回は、ルーブル美術館からセーヌ川に沿ってエッフェル塔を眺めベルサイユへ……名所旧跡めぐりはともかく、2万5000人の市民ランナーも参加し、報道されなかったが大熱狂だったという。156メートルの高低差が驚きだ。

 世界陸連(WA)が、42メートルを超す下りコースを省き、ロードレースの記録公認に踏み切ったのは20年前。勝負から記録へ舵を切り、アフリカの台頭、ナイキ社の厚底シューズ出現でマラソンの記録はサブ2(2時間切り)目前に迫る。ただ、第1回アテネ大会のコースは最大高低差215メートルあった。パリのマラソンは革命的な原点回帰といえ、ロード記録への解釈修正と考えられる。

 WAのセバスチャン・コー会長はモスクワ、ロスの1500メートルの金メダリストで中距離のスーパースターだった。引退後は国会議員、(周回コース採用の)ロンドン五輪の組織委員長を務め、ナイキ社の本部ビルに命名されるほどの辣腕ビジネスマン。その会長が最終日、IOC会長選へ出馬意欲を表明した。

 実はそれ以前に、2034年の冬季オリンピックで陸上クロスカントリー復帰を検討中とも明かしている。クロカンは100年前の猛暑のパリ大会を最後に外れ、今回の提案は冬季大会の南半球普及、温暖化対策、何より2015年にWA会長に就任した中距離スターのマラソン観だろう。1万メートルをグランプリから外すなど長距離には冷ややか……これで、常々囁かれていたマラソンの冬季大会への移行すら絵空事ではなくなった。

 記録から勝負へ──一見、日本に有利に思えるが、福岡国際もびわ湖毎日も消滅し、宗兄弟・瀬古・中山の賑わいははるかな昔話。マラソン日本のきっかけだったボストンの“心臓破りの丘”に挑む選手すらいなくなり、最近では大迫傑だけ。大迫はナイキ、この男からは目が離せない……あれこれ話が弾む面白い大会だった。

(武田薫/スポーツライター)

  ◇  ◇  ◇

 コー会長はすでに、IOCに対し真っ向から喧嘩を売っている。いったい何が起きているのか。コー会長の意図するものとは。

●関連記事【もっと読む】…では、それらについて詳しく報じている。

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