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目の衰えは認知症とつながる…元気で長生きするにはアイフレイル対策が不可欠

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月17日 9時26分

目の衰えは認知症とつながる…元気で長生きするにはアイフレイル対策が不可欠

目(視覚)と認知症には深い関係がある

 日本人がもっともなりたくない病気のトップは認知症といわれています(「認知症の予防に関する意識調査」2021年、太陽生命保険)。

 認知症予防のために食事や睡眠に気をつけ、運動に励んでいる人は多いと思います。しかし、目の健康が認知症予防につながることは、あまり知られていません。実は、目(視覚)と認知症には深い関係があることがわかってきたのです。

「視覚障害が認知症のリスクを上げるという研究はこれまで数多く行われており、両者には関係があると考えられています。脳に入る情報の8~9割は目から入ります。目が悪くなると脳への情報も減り、認知機能の低下につながる可能性があるのです」

 加藤圭一・日本眼科医会副会長は視覚と認知症との関係をこう話します。

 奈良県で行われた大規模調査(「藤原京スタディ」2016年、奈良県立医科大学)では、視覚障害は認知症のリスクを約2倍高くするという結果が出されています。

 また、同じ調査で、白内障手術を受けて視力が改善した人は認知機能が下がりにくいとも報告されています(「PLOS ONE電子版」2018年)。つまり、白内障で視力が低下すると認知症になりやすくなるが、手術で視力が改善すると認知症リスクが減るというわけです。

 認知症は外出や人との交流が少ないとリスクが高まるといわれています。目が見えないと外出が減りますが、視力が改善すれば外出も増え、認知症リスクを減らすことにつながるのです。加藤先生の臨床経験でも、高齢女性が白内障の手術後、認知力が上がった例があるそうです。

 転倒と目にも関係があります。米国などの研究では視覚障害があると転倒しやすくなり、そのリスクは2.5倍になるそうです。そのため米国と英国の老年医学会では転倒予防のために白内障の手術を勧めています。

 高齢者が要介護や寝たきりになるきっかけに転倒・骨折があり、寝たきり予防にも目の健康は不可欠といえます。

 糖尿病や高血圧・動脈硬化も目との関係が深い病気です。

「糖尿病、高血圧の人は眼底出血(目の網膜内の出血)を起こしやすくなります。放置すると視力の低下や失明の危険があるので、これらの病気の治療と並行して眼科で定期的なチェックが必要です」(加藤副会長)

 糖尿病網膜症は気づかないうちに進行し、症状が出た時には重症化して手遅れになることもあるそうです。血糖値が高めとわかったら、迷わず定期的な検査を受けたほうがよさそうです。

 目の健康は体や心の健康に直結しています。認知症や要介護にならず「元気で長生き」を目指すには目の健康対策(アイフレイル対策)が不可欠です。

(医療ジャーナリスト・油井香代子)

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