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夏の甲子園で女子アナの実況中継はなぜないの? TV局のジェンダーフリーは看板だけか

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月18日 9時26分

夏の甲子園で女子アナの実況中継はなぜないの? TV局のジェンダーフリーは看板だけか

赤江珠緒はテレ朝時代に実況経験あり(C)日刊ゲンダイ

 熱戦続く甲子園・高校野球──。しかし、女性アナウンサーの実況中継はテレビもラジオもない。アルプスリポートは各校の地元放送局の女性アナが多かったりするが、メインの実況と解説は男性ばかりである。パリオリンピックも、開会式・閉会式をのぞけば、全競技を男性アナが担当していた。女子の新体操やアーティスティックスイミングでも、おじさんアナが「すばらしい! 美の競演です」なんて似合わないことを叫んでいたのだ。

 なぜ女性アナのスポーツ実況はないのか。実は、まったくないわけではない。NHKで西東京大会決勝の「日大三高×早稲田実業」を実況したのは澤田彩香アナだ。去年は甲子園でも、ラジオだが2試合を担当した。秋田朝日放送の高田美樹アナも、去年に続き秋田大会の金足農業戦などを伝えている。

■女性アナの実況にはバッシングがひどかった

 過去には、赤江珠緒アナも朝日放送時代に、テレビで甲子園の実況をやった。それも伝説の逆転試合。作詞家の阿久悠が「甲子園の詩 敗れざる君たちへ」で取り上げた1999年の「新湊×小松」の一戦だ。オリンピックでは1996年のアトランタ大会で、有森裕子が銅メダルとなった女子マラソンを実況中継したのはテレビ朝日の宮嶋泰子アナだった。

「大変な話題になったのに、甲子園もオリンピックも、以来、女性アナのテレビ実況はほぼゼロです。理由はバッシングがひどかったんです。毎日新聞や東京新聞でさえ『女の声でうるさい』『場違いな形容詞と身勝手な感嘆符』と散々でした。週刊誌の中には『女が選手を呼び捨てにするのはケシカラン』なんていうのもありました。これでテレビ局はすっかり萎縮してしまったんです」(メディアアナリスト)

 しかし、サッカー中継で「ゴーーール」とやたら絶叫したがる男性アナや、敗れた高校を「球児たちの夏は終わりました」と情緒的に繰り返すだけの男性アナなどは、スポーツ中継に向いているとは思えない。

「いまどき、女性アナの実況に視聴者も違和感なんかありませんよ。むしろうるさくなくて聞きやすいと高評価です。ところが、テレビ局は実況のできる女性アナを育てようとしていません。ニュースやナレーションの原稿を読むのと違って、スポーツ実況はアドリブと瞬発力が基本ですから、場数と知識が半端なく求められます。一人前になるまで時間がかかるんです。いまだに放送業界は女性アナは若いうちが華なんて意識が強いから、スポーツ中継の経験を積ませるより、若いうちにバラエティーなどで使おうとします。スポーツ中継志望の女性アナがいても、経験を積むチャンスがないんです」(前出のアナリスト)

 テレビ各局はSDGs推進のキャンペーンを展開しているが、その目標のひとつが「ジェンダー平等」だ。本気で取り組んでいるなら、甲子園はもちろん、プロ野球やサッカーでも女性の実況放送を実現してほしい。ゴルフやフィギュアスケートなどは、むしろ女性の声が聞きやすいんじゃないかな。

(コラムニスト・海原かみな)

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