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認知症の進行を抑制する2例目の新薬、日本での承認が決定【第一人者が教える 認知症のすべて】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年8月20日 9時26分

認知症の進行を抑制する2例目の新薬、日本での承認が決定【第一人者が教える 認知症のすべて】

承認が決定した「ドナネマブ」はどんな薬なのか?

【第一人者が教える 認知症のすべて】

 8月1日、厚労省の専門家部会が認知症の新しい薬「ドナネマブ」の製造販売承認を了承しました。今後は厚労大臣の正式な承認を経たあと、薬価が決められ、秋冬くらいから臨床現場で使われることになるでしょう。

 昨年9月に日本の製薬会社エーザイなどが開発したレカネマブが承認されましたが、ドナネマブはレカネマブに続いて2例目の治療薬となります。レカネマブ、ドナネマブはどんな薬か? レカネマブが承認されるまでは、アルツハイマー病の治療は対症療法しかありませんでした。レカネマブは、アルツハイマー病の原因物質アミロイドβを除去する働きがあり、認知症の進行を抑制する初の薬となります。ドナネマブも、アミロイドβを除去する薬。米国の大手製薬会社イーライリリーが開発した薬となります。

 どちらの薬の名前にもつく「マブ(mab)」。これは、モノクローナル抗体(monoclonal antibody)を意味しています。モノクローナルのモノは「単一」、クローナル「まじりっけのない集合」ということで、一つのタンパク質の一つの場所にだけ反応する薬です。

 タンパク質は長く、いろんな場所に反応すると副作用も起こりやすい。アルツハイマー病の薬であるレカネマブ、ドナネマブは、アミロイドβというタンパク質の一つの場所にだけ反応して、副作用は少なく、認知症の進行を遅らせます。

 ちなみに、レカネマブ、ドナネマブは薬の一般名で、商品名は違う名前をつけなくてはなりません。レカネマブの商品名は「レケンビ」。ドナネマブは、日本に先立って承認、販売となったアメリカで「ケサンラ」という商品名がついており、日本でも同じような名前になることと思います。ケサンラ、スペイン語の「ケセラセラ(なるようになるさ)」と音が似ていますね。

治療効果、副作用を比較すると、どう違う?

 レカネマブもドナネマブもアルツハイマー病の原因物質アミロイドβを除去する薬ですが、作用する対象が異なります。

 認知症は、アミロイドβが蓄積することで認知機能が低下します。レカネマブの場合、アミロイドβが蓄積して大きな塊になる前、特に神経毒性が強いとされるプロトフィブリルに作用すると考えられています。

 一方、ドナネマブはアミロイドβが凝集した大きな塊に作用するとされています。臨床試験では、レカネマブは薬を投与して1年半後、認知機能低下を27%低下させるとの結果。ドナネマブは1年半後で29%抑制との結果でした。

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